キングダム考察|王翦の強さ!史実でも最強。実在した知略の無双は王を目指していない
キングダムで新しい六大将軍の第三将に選ばれている王翦大将軍。
史実にも存在しており、春秋戦国時代の強い武将の代表格として知られる人物です。
王翦はキングダムにおける危険人物と言われていますが、それは二つ目の特徴である「自らが王になる」という幻想を抱いているからと言えるでしょう。
果たしてこれも本心からなのか。
史実にあるように「強大な軍を任せる将軍職を安全にこなすため」の策なのかもしれません。
今回は王翦の強さについて史実を交えて考察を行っていきます。
史実での登場は鄴攻めから
王翦が史実において大活躍を見せるのは鄴攻めからでした。
まさに不落と言えた鄴を桓騎と楊端和と共に攻めて陥落させます。
戦いの流れには若干の違いがあり、オリジナル要素ですがキングダムでも同じ。
仮に李牧が最前線で最後まで指揮を取っていたらこの戦もどうなっていたか分かりません。
史実ではこの時点で李牧は登用されておらず北の雁門の守りに従事しているところ。
実際には当時の趙最強の武将だった龐煖(キングダムとは様相が違います)が燕を攻めた隙きをつく形での戦でした。
王翦は史実でも突飛な策を使って鄴を落としました。
鄴攻めの最後に大規模となった軍を2割までの精鋭にして鄴を落としている。
王一族は今後も秦王政の中で活躍することになりますが、その名家を創り上げた人物とも言えます。
子は王賁で、孫が王離。
どちらも秦王政の元で活躍した武将となります。
趙を滅亡させた王翦
秦国の中華統一を大きく阻んだのが趙。
これはキングダムでも同じ。
最も厄介な存在と言えたのが李牧でした。
キングダムでも李牧は王翦を含め秦国の武将が全て束になってかかってきても勝てると豪語しています。
もし王が賢人であったならそれも成し得たのではないかと言えるほどの知略を持っています。
鄴攻めから7年後の紀元前229年に王翦は楊端和と羌瘣と共に趙を攻めます。
楊端和が趙の周囲を囲み、邯鄲攻略は羌瘣と行いました。
しかし李牧と司馬尚が守る邯鄲の守りが固すぎるため攻略出来ないまま時が過ぎていきます。
李牧と司馬尚の排除は謀略
このままでは邯鄲攻略に時間がかかりすぎることを察した秦国側は謀略にて李牧と司馬尚の排除を目論見ます。
楊端和が邯鄲周辺を囲んでいて、攻め続けている王翦と羌瘣という構図は「いずれは滅ぼせる」ものでした。
それでも時間をかければ国内の守りは手薄となり、大国楚がその間に攻めあがってくるのは火を見るより明らかなもの。
蒙武大将軍が楚との国境を守る任に当たっているキングダムでの設定ですが、長引けば侵攻は他国の侵入を許してしまうでしょう。
キングダムでも王翦は李牧に対して最大級の誘い文句を鄴攻めの朱海平原にて伝えていました。
強い武将を敵味方関わらず登用しようとする王翦大将軍。
過去にも同じ様に誘っている人物が描写の中にもありました。
その中でも李牧に関しては別格の誘い文句を並べました。
今の趙国の唯一の重しとなっているのは李牧、お前だ。
お前が消えさえすれば間違いなく趙は一瞬で亡ぶ。
~中略~
お前が私と組み力を貸すなら二人で全く新しい最強の国を作ることが出来る。
-王翦-
(キングダム607-608話)
王翦がはっきりと「新しい国を作る」と明言した部分でもありました。
これほどの実力を持つ李牧。
実際に史実でも李牧は当時の強国であった秦国から領土を奪還するどころか一部を奪い取っている人物です。
桓騎が葬られたのも李牧によるものでした。
李牧を倒すのに時間をかけていては国が危険にになると悟った秦国は趙の大臣である郭開と幽繆王(登場時に人間の上に座っていた暗愚代表格の王)の母親である悼倡后(とうしょうこう)の二人に賄賂を送って籠絡。
この二人の助言が「李牧と司馬尚に謀反の疑いあり」というものでした。
側近二人から聞かされた王はさすがに怖くなって王都防衛を必死に行っている李牧と司馬尚を更迭(クビです)。
何の取り柄もない武将趙葱と斉の将軍であった顔聚を代わりに立てます。
李牧は国民にも人気があったことから秘密裏に謀殺されてしまいました。
李牧と司馬尚がいなくなって3ヶ月
この李牧と司馬尚を排除する謀略についても王翦が考え出したと言われています。
李牧と司馬尚がいなくなった邯鄲。
それでもさすが王都といったところ。
史実でもここから更に3ヶ月は代わった二人の武将で邯鄲を守り続けています。
しかし間もなく邯鄲が落ち、先に逃げていた幽繆王を羌瘣が東陽で捕えて趙との戦は終了しました。
但し李牧が趙の光と評した嘉が代に逃げ込み、後に「代王嘉」として新しい代という国を建てることになります。
羌瘣はその際に燕まで追撃すべく東側の中山に駐留していました。
勝てる戦しかしない王翦
勝てる戦しかせず知略をベースにした戦い方というのが、この趙戦における王翦の動きから読み取れます。
キングダムにおける王翦の設定の一つである「勝てる戦し興味がない」というのはこの史実を元に作られていると言えそうです。
(この後の楚戦でも確実に勝てるとされる秦国全軍の60万を勝利の条件としていました)
実際に王翦は史実でも一度も敗北を知らないまま強国である趙と楚を滅亡に追い込んだ恐ろしい将軍です。
恐らく秦国で最強の将軍を上げろとなれば王翦と答えるのが妥当であろうと感じます。
秦国最強=中華最強の将軍と言っても差し支えないのではないでしょうか。
辛勝と燕を攻める王翦
趙を滅亡させた翌年、紀元前227年に王翦はそのまま趙より奥にある燕を攻めます。
ここで共に向かった将軍は辛勝という人物であり、キングダムには未登場でした。
史実でもこの一回きりの登場となりますので排除される可能性も大いにあるでしょう。
王賁と燕を攻める
辛勝と燕を攻めて燕と代の連合軍を易水にて倒す王翦。
この時は王賁も共に燕を攻めていたとされる文献もあります。
よって親子での辛勝を使わずに王翦を総大将として王賁が軍内に組み込まれ共に戦う戦になりそうです。
蒙恬を誘った時も「先に入れるべき人物がいる」と言われてしまった王翦。
自分でも分かってはいるのでしょう。
そしてこの燕を攻めた戦にて王翦と王賁は共に戦うことになりました。
燕の都である薊を攻め、太子丹の軍勢を倒し陥落させました。
燕王喜は薊が陥落する前に遼東に逃げています。
更にこの時に息子である王賁は楚を攻めて勝利しています。
ただ王翦に関しては史実では病気に伏して将軍職を辞しました。
王翦が病気になって将軍を辞職
王翦は鄴攻めから10年経った紀元前226年に一度将軍職を辞しています。
ただキングダムでは老将の活躍もかなりのもの。
そもそも元三大天の廉頗大将軍が老将ながら恐ろしい実力を発揮していました。
蒙驁や張唐も同じです。
よって王翦くらいの年齢で将軍職を辞するとは思えません。
キングダムでは六大将軍の一人として最後まで君臨し続けることになりそうです。
王翦よりも李信を優先した戦
史実ではすでに引退していた王翦ですが、楚との戦で李信が敗れて呼び戻されます。
韓・趙・魏と滅ぼし、燕の薊も陥落させた秦国は遂に超大国である楚との戦に挑みます。
史実では王翦と李信に楚攻略の意見を聞いている嬴政。
この考えで若く勢いのある李信を採用すると決めた嬴政。
しかし項燕の策と昌平君の裏切りという二つの事象が相まって、結果的に大敗を喫することになりました。
(昌平君の裏切りまでは大きな勝利をおさめています)
⇒昌平君は秦国を裏切る
李信が負けてしまい武将を7人も失う敗北となってしまった秦国。
このまま負けたことを悔やんでいる訳にもいかず、李信が敗れた翌年に王翦を引っ張り出して60万の兵によって楚を攻略しています。
李信の出陣では総大将を李信大将軍とし、副将を蒙恬大将軍としていました。
王翦が攻める際には王翦大将軍を総大将として副将は蒙武大将軍が努めています。
何より60万は秦国の全軍であり、恐らくこの楚との対戦で全ての武将が登場するはずです。
実質の最終戦と言っても過言ではないでしょう。
王翦は猜疑心の強い嬴政をうまく扱った
王翦は楚にも勝利し、最終的に項燕や昌平君をも打ち破っています。
そんな王翦、キングダムでは「自分の国を作りたい」と願っている危険思想の武将です。
しかし史実では嬴政すらもうまく扱おうとした人物でもあります。
秦国全軍を任された時、猜疑心の強かった嬴政が途中で「王翦が危ないかもしれない」と思わせないように「褒美の要求」を逐次行ったとされています。
進軍している途中でも「王様、ちゃんと褒美はもらえますよね?」と何度も私信を送ったと言われるのです。
「え?その方が危なくないか?」って思う人もいそうですが違います。
この時、列国を支配した秦国は領土という観点から見れば幾らでも褒美を渡せる状態です。
嬴政としては「褒美をちゃんと与えれば謀反は起こさない人物」と感じたはず。
こうすることで昌平君の様に思想での離脱が無いと分からせたかったのでしょう。
李信戦で楚との戦に敗れた最大の理由は項燕の強さと昌平君の裏切りにあります。
この二つがなければ李信と蒙恬の20万で楚は陥落していました。
史実での王翦ではありますが、キングダムでの王翦の考えももしかしたら列国を滅ぼしていく過程で王賁たちを守るために必要な考えであると認識しているのかもしれません。
「自分が王になりたい」
真っ直ぐの意味ではなく何か裏に想像を超えた考えがあるように思えて仕方ありません。
誰もが驚く戦略眼は中華統一を行っていく秦国の未来すらも予見できている人物とも考えられるでしょう。
以上が王翦の強さに関する史実を交えた考察となります。
マンガ好き
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