【東京喰種:re考察】金木が有馬に贈った北原白秋の詩”老いしアイヌの歌”
(石田スイ先生 東京喰種:re 85話引用)
ルシマ編にて、
有馬と戦ったカネキ。
最後は、
有馬が自害する形で
決着。
その後には、
カネキが有馬に対して
詩を贈っています。
ただ、
意味はなんとなーくは
伝わってくるものの、
詳細までは分かりません。
それこそ、
詩や文学に詳しい人でないと
胸には響かない…?でしょうか。
ということで、
私も専門家という訳でもありませんが、
言葉一つ一つの意味を調べて
みていけたらと思います。
北原白秋
そもそも
北原白秋とは何なのか?
そう思う方もいるでしょう。
白秋は秋を意味する言葉で
“北原”は人物名。
つまり、
北原隆吉という現代に生きた
詩人が残したものこそが“北原白秋”。
カネキはその一つを
詠っています。
また、
詩とはいっても
多くの詩を残している方で、
カネキが詠ったのは
「海豹と雲」という詩に登場する
タイトル「老いしアイヌの歌」の
一節に過ぎません。
全文見てみたいって方は
ぜひ本物の方をチェックして
みてください。
老いしアイヌの歌
カネキが有馬に贈った詩。
カネキ
「―――彼アイヌ、
老いたる鷲(わし)
古り皺(しわ)み、
病み倦(う)んずる者。
ましら髯(ひげ)、
厳(いつ)かしきアツシシ、
マキリ持ち、研(と)ぎ、あぐらゐ、
オンコそぎ、心恍(ほ)れり。オー・トイヤン・クツタリ・・・
(汝地上に拡張せる者よ)
総て善し、吾(あ)は拝せり。
吾は老い、吾は嘆けり。
吾は白し、早や輝けり。
吾は消えむ、ああ早や―――」
(石田スイ先生 東京喰種:re 85話引用)
はい、
こんな感じです。
「老い」「病み」
「ましら(真っ白な)髯」
などの漢字を見るからに
シにゆく人に向けた詩…かな?
程度の感覚でしょうか。
ということで
意味を調べてみましょう。
アイヌ
まずは最初の
「彼アイヌ」。
アイヌとは
北海道に移住していた民族の事。
本文の彼アイヌは
その民族を指しているのかも
しれませんが、
ただ、
作中でいうと
そうではないでしょう。
恐らくはもう一つの意味である
「人間」の意味合い。
つまり、
「彼人間」という意味。
有馬はシに際に
半人間のことを語り、
自分が人間ではないと
カネキに伝えています。
しかしカネキは
あえてこの詩を有馬に贈る事で、
有馬が立派な人間であったと
伝えたかったのかも
しれませんね。
⇒【西野貴未が人と喰種の共存を示す】
⇒【嘉納の目的は喰種の医療治療のみ】
鷲~髯
「老いたる鷲」は
単なる比喩でしょうか。
鷲は動物ですが、
最初に人間と
言っています。
そして、
鷲というと鷹との
明確な区別はないそうですが、
何しても獲物を狩る姿を
連想させます。
現代でも「鷹狩」といって
鷹を使って狩りをさせる
方法もあるくらい。
つまり、
有馬の様が獲物を狩る鷹のように
輝かしくはあったものの、
その鷲が老いているといった
ところでしょうか。
次の
「古り皺み」もまた
皺(しわ)が増え老いている
ことを表現しているように思います。
そして
「病み倦んずる者」は
病みは病気である状態で
「倦んずる」は“失望する”
“気を落す”だとかの意味合い。
つまり、
病に犯され、残念に思っている者。
といっても
この場合の病は老いなのかも
分かりませんけど。
最後の「ましら髯」はそのまま
真っ白な髯で、
こちらも老いている表現でしょう。
⇒【鈴屋のピンに変化!今は20!?】
⇒【鈴屋は有馬を越える!?】
厳かしき~心恍れり
「厳かしきアツシシ」の
厳かは堂々とした様というような
意味合いでしょうか。
そして、
アツシシはアットゥシという
アイヌ民族の織物があるそうで、
つまりはその民族服を来た
堂々とした人物の様を表している
のだと思います。
次の
「マキリ持ち、研ぎ、あぐらぬ、」
のマキリはアイヌ民族が
使っていた短刀、狩猟刀。
「研ぎ」と「あぐらぬ」は
そのままものを研いでいる様と
あぐらをかいている様を
表現しているでしょうか。
そして
「オンコ(水松)そぎ、心恍れり」
という部分ですが、
水松という食用の植物が
あるそうなので
それを削いでいるという
ことになるでしょうか。
最後の「心恍れり」は
ちょっと解釈が難しい
ように感じましたが、
惚れるという漢字と違い、
心がかすかになる様子を
意味しているそうなので、
恐らくは
心までもはっきりと
しなくなっていると
言いたいのでしょうか。
つまり、
身も心も老いている、
そんな状態なのかも
しれません。
⇒【エトと店長が再会!?】
⇒【“re”の別の意味とは!?】
オー・トイヤン・クツタリ・・・
続いて、
「オー・トイヤン・クツタリ・・・
(汝地上に拡張せる者よ」
という文。
「汝」は「お前」といった
二人称・相手を指す言葉。
次が難しいですが、
あくまで古代の人たちに向けて
贈られたものだと思いますが、
「地上を拡張させた」という事は
住む場所を広げたという事で
偉大な功績を残したという事に
なるのかもしれません。
であるなら、
その人物を称えている
意味合い。
⇒【金木とヒデが成した偉業!】
総て善し~ああ、早や。
あとはそのままでも
十分意味が伝わるので
そこまで難しくないと思います。
「総て善し、吾は拝せり。」の
総ては一つ残らずという意味合いですが、
色々あったけど、今の結果になったら
それで良かったというようなことに
なるでしょうか。
「吾」は「私、自分」など
を指す一人称。
「拝せり」は「受ける」
つまり現状を受け入れた
という事でしょう。
「吾は老い、吾は嘆けり。」
私は老い、嘆いた。
「吾は白し、吾は輝けり。」
私は白く、輝いた。
「吾は消えむ、ああ早や――」
私は消えるだろう、ああ何と早い――。
こんな感じになると思います。
最後に
では、
意味合いが何となく
分かったと思いますので、
もう一度詩を読んでみましょう。
カネキ
「―――彼アイヌ、
老いたる鷲(わし)
古り皺(しわ)み、
病み倦(う)んずる者。
ましら髯(ひげ)、
厳(いつ)かしきアツシシ、
マキリ持ち、研(と)ぎ、ぐらぬ、
オンコそぎ、心恍(ほ)れり。オー・トイヤン・クツタリ・・・
(汝地上に拡張せる者よ)
総て善し、吾(あ)は拝せり。
吾は老い、吾は嘆けり。
吾は白し、早や輝けり。
吾は消えむ、ああ早や―――」
(石田スイ先生 東京喰種:re 85話引用)
どうでしょうか…?
意味が分からないまま
読んだときとまた
印象が変わったでしょうか?
という事で、
金木が有馬に向けた詩。
シ者を悼む詩であったのは
もちろんですが、
有馬の寿命が短いという設定が
バチッー!とはまった詩だった
というような事も分かりますね。
では
今後とも東京喰種:reを
楽しんでいけたらと思います。
⇒【金木の考え方に悪い癖!?】
⇒【有馬の望んだ世界の延長線上とは】
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