キングダム考察|秦の始皇帝・嬴政が中華統一を考えるのは必然だった!?
キングダムは秦王である嬴政が信と共に
中華統一を目指す物語だ。
秦国だけが中華統一を目指すのは、
秦国の社会制度が他の国と大きく異なるからだ。
春秋・戦国時代には周時代から
残る氏族制度が存在したが、
秦は氏族制度を唯一解体したのだ。
そのため、秦王・嬴政が中華統一の着想を
得ることができた。
秦国の氏族制度を解体したのは、
25代目秦王・孝公に仕えた商鞅(しょうおう)
である。
嬴政が信と共に中華統一を目指すことが
出来たのか、商鞅が築いた秦国の社会制度と
ともに考察していく。
※始皇帝 中華統一の思想(渡辺義浩/集英社新書)
を参考に記事を作成させて頂きました。
中華に残る氏族制度
秦王である嬴政だけが
中華統一の着想を得ている。
漫画上の設定ではなく、史実から見ても
必然的に秦が中華統一を目指すと
言っても良いだろう。
秦は他の六国とは社会制度が大きく異なり、
他の国では周時代から続く
氏族制度が残っていた。
氏族制度は
『血縁関係による身分制度』
である。
簡単にいうと、生まれた家によって
身分や職業すらも決まっている制度だ。
そのため、王族や貴族は現在の地位を守る
ことに必死で中華を統一する発想には
行き着かないのだ。
商鞅が築いた社会制度
秦は戦国時代には氏族制度が解体された。
氏族制度の解体は25代目秦王・孝公に
仕えた商鞅(しょうおう)が実行した。
商鞅が築いた制度は法家思想に基づいている。
法家思想とは信賞必罰を主として、
法を犯せば罰が下り、
成果を挙げれば褒美が貰える考えだ。
氏族制度とは成果を評価される点が大きく違う。
氏族制度では、いくら頑張っても
身分や職業が変わることはなかった。
秦国では軍功爵制を採用した。
また、氏族制度では地方に権力が集まった。
秦国は県制によって中央集権型へと変化した。
軍功爵制による成果主義
商鞅が秦国が成果主義へと変わるために、
軍功爵制を定めた。
軍功爵制とは
『戦場で手柄を挙げれば出世、
公族であっても手柄がなければ没落』
という制度だ。
キングダムで信が下僕から
大将軍へと夢見れるのも、
軍功爵制があるからだ。
秦にいなければ、
信の出世は無かったのだ。
県制による中央集権型
氏族制度では地方の権力者に権力が集中し、
王が絶対的な力は持たず、
地方分権型の支配であった。
そのため商鞅は県制を敷いた。
県政とは
『地方ごとに官僚を送り治めさ、官僚は
何回も転勤をさせ地方で権力を持たせない』
ようにした。
官僚は秦王から送られるために、
地方の権力が秦王へと集中するようにし、
地方分権型から中央集権型へと変化した。
そのために、秦王・嬴政は
国家総動員プロジェクトである
「中華統一」を実行可能と思い至ったのだろう。
まとめ
秦王・嬴政が中華統一を目指すのは
物語上の設定だと思っていた。
ただ、史実から追うと嬴政が中華統一を
目指すと着想したのは、偶然ではなかった
のだと思えてくる。
氏族制度が残る国とはわかりあえない秦。
他の国と秦国が分かりあえないのは、
根底に全く異なる考えがあるからだろう。
キングダムには史実を深く理解した部分が
流れており、凄さに感嘆するばかりだ。
マンガ好き
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