ライナーとエレンの再会。握手では和解は無く許す事もない|進撃の巨人考察
進撃の巨人99話でエレンとライナーがマーレ国の中、レベリオ収容区での再会を果たしました。
マーレの実質的支配者であるヴィリー・タイバーがパラディ島に宣戦布告をしようとする、その場所での再会です。
エレンはライナーとの再会をなぜファルコに頼んだのでしょうか。
ライナーとエレンの再会について考察をしていきます。
エレンは巨人になる準備をしている
ファルコがエレンの手の傷に気付くと、エレンは「あぁ・・・すり傷だ」といいます。
ライナーは気付いていますが、巨人になるための準備と言えます。
エレンはライナーに座る様に伝え、ファルコにも「話を聞くんだ」と促します。
ライナーとしてはここで巨人化されてしまうとファルコが死んでしまうのが目に見えているので「言う通りにするんだ」と言います。
ライナーと同じだと言うエレン
ライナーはエレンが何をしに来たのか尋ねています。
表情も変えずにエレンは言います。
「お前と同じだよ」
ライナーからすれば相当な恐怖だったでしょう。
パラディ島に向かったライナーも目的は「島の悪魔の殲滅」その為の始祖奪還だった訳です。
実際にライナーは壁を破り、多くの壁内の人間を死に至らしめました。
エレンが来た理由が同じであるのなら「マーレの人間を殺す」ことが目的だと言えます。
理由は仕方なかったから
ライナーは頭を抱えて「何で」と問おうとしますが上手く言葉に出来ません。
変わってエレンが答えます。
何で?ってか?わからないか?
お前と同じだよ。
「仕方なかった」ってやつだ。
-エレン-
(進撃の巨人99話)
ライナーの苦悩が分かります。
ここでヴィリー・タイバーの演説が外から漏れ聞こえてくる場面が進撃の巨人99話では繰り広げられます。
ファルコも異常に気付く
座る二人の横で壁際に立っているファルコもライナーの怯えようが異常である事に気付きます。
そもそもなぜ自分も久しぶりに会う二人の話を聴かなければならないのか、という気持ちが出て当然でしょう。
古い友人じゃないのか?
古い?
古いって何年前の・・・4年以前なら副長と知り合ったのはパラディ島の5年間。
いや、そんなわけが、だって、そんなこと。
-ファルコ-
(進撃の巨人99話)
ここで初めてライナーがエレンを見た時に発した「ありえない」に合点がいくファルコです。
まさか自分がヴィリー・タイバーが言う「平和への反逆者」エレン・イエーガーの手紙を送り込んでしまうことになるとは想像もしていなかったでしょう。
この後悔は後にファルコの内面を削っていきます。
クルーガーという人物が家族に送る手紙だと信じて出し続けたものが、マーレにとっては反逆者の首謀者であるエレン・イイェーガーだったとは信じたくない気持ちも分かります。
ライナーも世界を救う名目で来ていた
エレンはヴィリー・タイバーの言う通り自分が世界を滅ぼしてしまうかもしれないと言います。
実際に地ならし発動でそれに近い状態になってしまいます。
エレンはライナー達が悪者に見えたと言います。
巨人の駆逐を心に決めたエレンの原体験である母親が喰われた瞬間。
それが「なぜ起こったのか」「なぜ母さんは巨人に食われたのか」とライナーに問います。
かなり酷な質問ですが、エレンにとって最初の強烈な敵意を抱く出来事です。
ライナーは自分たちが壁を破壊したからだと答えます。
理由は任務であり、それが世界を救う行為だと考えていたからだとライナーは緊張感の中で答えます。
エレンもそれに対して「仕方ない」と言います。
何も考えていないような空虚な瞳が怖くなってきます。
ライナーはエレンに言われた言葉を思い出してエレンにたずねています。
お前言ってたよな。
「お前らができるだけ苦しんで死ぬように努力する」って。
そのために来たんだろ?
-ライナー-
(進撃の巨人100話)
ただエレンはそんな事もう「忘れてくれ」と全く違う目的である事を示唆しました。
そしてもう一度お前と同じだと言います。
マーレに来てエレンもマーレにいる普通の人と寝食を共にしています。
良い奴も入れば悪い奴もいる。
ただ教育の中で壁の中の人間は違うものだと教え込まれていたに過ぎません。
これは現実の社会でも同じ事が言えるでしょう。
どこにいてもその場所にいればその場所が可愛く思えるとも言える国同士のいがみ合いにも似ています。
自分を殺してくれと頼むライナー
ライナーは今のエレンと同じで、どちらの立場も理解し得る人物です。
そんなライナーに対して「お前ずっと苦しかっただろ?」とエレンは言います。
それが同じなのだと。
ライナーは「違う」と叫びます。
椅子から降りて手をついて頭を下げながら「違うんだ」とライナーは言います。
まるでエレンやパラディ島の人類に対しての贖罪の様な雰囲気です。
「英雄になりたかった」
そういうライナーですが、実際にあの時はそうだったのかもしれません。
どうしても名誉マーレ人になる必要があったライナーは、マルセルがユミル巨人に食われた後もアニとベルトルトを説得して壁の破壊に向かいました。
それは戻った事で英雄の道が絶たれるのを恐れたからと言えます。
時代や環境のせいじゃなくて、俺が悪いんだよ。
お前の母親が巨人に食われたのは俺のせいだ!
もう嫌なんだ自分が。
俺を殺してくれ、もう消えたい。
-ライナー-
(進撃の巨人100話)
自らを殺してくれと頼むライナーはに対しても何の感情も無い様な目をしているエレンです。
もう全てを決めているとも言えるでしょう。
エレンとライナーの和解は無い
エレンとライナーの再会の一幕の最後です。
エレンはライナーの嘆きを聞いた後、床に這いつくばるライナーに手を差し出します。
二人の握手で和解が成立する様子にも見えますが、そんなに甘くはありません。
エレンはライナーに最後に言います。
「オレは進み続ける」
生まれた時からこうなんだ、と付け加えた上で「敵を駆逐するまで」で締めくくり巨人化に至りました。
最後まで同じ表情のまま、一切感情を見せないエレンです。
よく考えるとマーレ編突入から最後までずっとエレンの表情は変化がない様に思えます。
怒りも悲しみもなく、ただ真っ直ぐに進み続ける存在となってしまったのかもしれません。
それを色濃く見せたのがライナーとエレンの再会の場面となりました。
結果、ここでエレンは進撃の巨人となりパラディ島に宣戦布告をするヴィリー・タイバーを握りつぶして世界との開戦となります。
マンガ好き
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