進撃の巨人考察|地ならし発動で島外の全てを殺す!結末は絶望しかない

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地ならしとは

パラディ島の壁の中には超大型巨人よりも少し小さい程度の巨人が並んでいます。

その壁の巨人を全て開放して世界を踏み潰して地面を鳴らして回る行為を「地ならし」と呼んでいます。

「海を渡れるのか?」という疑問も当初はありましたが、当たり前の様に泳ぐシーンが描かれました。

進撃の巨人130話 地ならしの巨人は泳げる

進撃の巨人130話/諫山創先生/講談社
地ならしの巨人は泳げる

よく考えたら、ハンジが巨人の一部を蹴飛ばした時に「質量の小ささ」に驚いていました。

海に浮かぶのは容易な事だったと分かります。

地ならしの目的は進撃の巨人123話でエレンが明言していました。

すべてのユミルの民へ告ぐ。
オレの名はエレン・イェーガー。
始祖の巨人の力を介し、すべてのユミルの民へ話しかけている。
パラディ島にあるすべての壁の硬質化が解かれ、その中に埋められていたすべての巨人は歩み始めた。
オレの目的はオレが生まれ育ったパラディ島の人々を守ることにある。
しかし世界はパラディ島の人々が死滅することを望み、永い時間をかけ膨れ上がった憎悪はこの島のみならず、すべてのユミルの民が殺され尽くすまで止まらないだろう。
オレはその望みを拒む。
-エレン-
(進撃の巨人123話)

ここから次の描写のエレンは、もはや今までのものではなく、完全なる悪の中心と言えるものとなっていました。

進撃の巨人123話 エレンの地ならしの理由

進撃の巨人123話/諫山創先生/講談社
エレンの地ならしの理由

地ならしを発動したエレンはパラディ島以外の全てを踏み潰してしまう事を目標としています。

島の外にある全ての地表を踏み鳴らした上で、さらに命の全てを奪うと明言してる訳です。

通常のマンガならラスボスが発言する様な凶悪な話でもあります。

別マガが絶望も加味した上でのダークファンタジーをコンセプトにしている事がよく分かります。




地ならしとの攻防は130話で始まった

エレンが進撃の巨人123話で遂に「地ならし」を敢行しました。

エレンが悪に見える場面も多いかもしれませんが、想いは純粋なものです。

それこそ少年が抱きそうなものではないでしょうか。

オレが死んだ後もずっとあいつらの人生は続く・・・。
続いてほしい。
ずっと・・・幸せに生きていけるように。
-エレン-
(進撃の巨人130話)

この言葉の後に出てきたエレンの思い出した風景は104期の皆で過ごした瞬間でした。

進撃の巨人130話 エレンが地ならしにかける想い

進撃の巨人130話/諫山創先生/講談社
エレンが地ならしにかける想い

エレンが今からしようとしている地ならしはパラディ島以外の全てを葬り去る行為です。

世界からすれば、また新たなエルディア人の暴挙とも取れる方法ですが、エレンに残された4年で実行可能な策はこれしかないのでしょう。

進撃の巨人の面白いポイントは「選択」にあります。

ダークファンタジーならではとも言えますが、色々な選択によって「別の未来も存在した」事が明白に分かるようになっている訳です。

地ならし為のエレンとミカサの描写もその一つと言えるでしょう。

エレンが「お前はどうしてオレのことを気にかけてくれるんだ?」という質問をしたのに対して「家族」と答えたミカサです。

顔を赤らめて、明らかに恋愛感情を持っているミカサの様子でしたが、答えはいつもの「家族」にとどめてしまっています。

ミカサはエレンの地ならし発動を見て感じるシーンがあります。

果たして他に選ぶべき選択肢があっただろうか。
すべては最初から決まっていたのかもしれない。
それでも考えてしまう。
あの時、もし私が別の答えを選んでいたら。

進撃の巨人123話 結果は変わっていたんじゃないかって

進撃の巨人123話/諫山創先生/講談社
結果は変わっていたんじゃないかって

物凄く考えさせられるワンシーンです。

進撃の巨人は最初から最後までこういった形での選択肢が用意されています。

「この時にもし」という部分が多くなっていて、それを読者に考えさせようとしてるのでしょう。

ダークファンタジーにおける絶望から学ぶ事は「別の選択によって希望もあった」事を伝える意味が多分に含まれています。

地ならし巨人の前に世界連合艦隊も全滅

地ならしの威力は壮大でハンジの計算では4日足らずで全ての大陸を踏み潰すとのことです。

「地ならし」の進行速度は馬の駆け足よりも速いくらいだった。
それも障害物を無視して進むから半日もあれば巨人が上陸した海岸から、およそ600Kmは被害に。
全ての大陸を踏み潰すまでには4日掛かるだろう。
-ハンジ-
(進撃の巨人129話)

エレンが伝えたパラディ島以外の全ての地面を鳴らして踏み潰し、全ての命を奪い去るまで、たったの4日しか無いことになります。

まずは大陸に到達する手前で何とか防ごうと「世界艦隊連合」が対巨人用の砲弾にて応戦しますが、話になりません。

秒殺と言えるスピードで壊滅させられ世界は制海権を完全に失いました。

この時点で人間VS地ならし巨人の戦いは負けが確定したとも取れました。

唯一残された軍力での手立てが空からの攻撃です。

飛行船での空爆も失敗に終わる

巨人は空を飛べないという原則(135話のファルコ巨人でそれも無くなりました)があると仮定した時に最善の対応策は空からの攻撃でした。

134話にて飛行船で始祖の巨人とタッグを組んだエレンを狙いますが、獣の巨人の石つぶてによって瞬殺。

ここでも連合艦隊と同じ末路を辿りました。

飛行船の軍は瞬時に壊滅し、残る兵力では巨人に対応する術もありません。

進撃の巨人135話 残る兵力で使える大砲が3門

進撃の巨人135話/諫山創先生/講談社
残る兵力で使える大砲が3門

135話ではファルコ巨人が空を飛んで、アニとガビを連れてながらミカサ達を救い出しました(アルミンは捕えられたまま)。

エレンを止めても解決はしない

もはや武力でエレン巨人と戦って勝つことは出来ません。

パラディ島以外の人類が全て死に絶えるか、もしくは説得によって止めさせるしかないでしょう。

しかし、すべに多くの命が失われた後です。

今更止めたところで、世界がユミルの民に抱く憎悪の感情に終わりはないはずです。

エレンが言う通り、この連鎖を終わらせるには「憎悪を持つ者全てを葬り去るしかない」と取れそうです。

もう一つの方法が「許すことで連鎖を止める」ことになりますが、これほど多くの被害を出した後で、全員が納得して違う人種同士仲良くしましょう、なんて都合のいいことが起こるのでしょうか。

進撃の巨人134話 絶望の中で新たな命を生み出すヒストリア

進撃の巨人134話/諫山創先生/講談社
絶望の中で新たな命を生み出すヒストリア

無残で無慈悲に殺された人たちがいます。

もし自分の親族や大切な人が、その中に含まれているのだとしたら「許せますか?」という強烈に難しい問いを全ての人にすることになります。

「全員が許した状態」

まず無いと言えます。

結果的にエレンを止める事に成功したとしてもエレンの命は元よりエルディア人への風当たりは今まで何も変わりません。

もはや、そんな大きな次元を想像しながら対話が可能な地点は過ぎ去ってしまいました。

今あるのは、各々がどうなりたいのか、という言わばエゴのぶつけ合いになります。

地ならしの発動から人の命が奪われ始めた時点で、それが確定してしまっています。

もうどう終結させるのだとしても、どこかの立場にとっては「絶望」となるしかない展開となりました。

地ならしの発動。

これに至る誤ったとされる選択の数々

今一度進撃の巨人を最初から見直してみると、非常に面白い事が分かるのではないでしょうか。

ヒストリアの出産描写の対比が凄い



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