シン・エヴァンゲリオン考察|ネタバレと:‖(最終章)の全編を分かりやすく簡単解説【初心者向き】

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エヴァンゲリオンの最終章であるシン・エヴァンゲリオン劇場版:‖の上映はファンの中でも完成度の高い作品として語られています。

しかしながら大ファンではない人からすれば「意味が分からない部分も多い」と言えるかもしれません。

何度も見れば分かるかもしれませんが、現状の言葉の意味も理解出来ていないとなれば旧劇とされるアニメ版の確認も必要になってきます。

正直、そんな時間はないな」って人も多いのではないでしょうか。

ということで今回は最終章であるシン・エヴァンゲリオン:‖に関して全編を簡単におさらいしながら解説と考察を行います。

※かなり詳しく知っている方に向けたものではないのでご了承下さい。知識不足だけどそれなりに全体を網羅して楽しみたい方に向けた記事となります。

Table of Contents

パリの街を回復させたアンチLシステム

映画本編の冒頭で登場するのがパリの街です。

そこに謎の大型機械と真希波マリの歌声(マリはエヴァ8号機の中に乗っています)が聞こえてきての開始。

赤木リツコやマヤ、その他「若い男」と評されるマヤの部下達がL結界密度が高くコア化した街を救うべく端末を勢いよく叩いているシーンで幕開けとなりました。

まずもって最初から「は?」ってなる人もいたのではと感じます。

「L結界?」「コア化?」ってなりませんか。
(僕があまりエヴァを知らずに見たら確実になります)

パリの街が赤く染まってしまったのは劇場版エヴァンゲリオン:破の最後でシンジが綾波レイを助ける時に初号機を覚醒させて起こしてしまったサードインパクトの影響です。

コア化もL結界も分からないし、正直サードインパクトも意味分からんねんって読者もいると思います。

本来のサードインパクトは大地の浄化と魂の浄化の2つを実行してしまうものでしたが、カヲルが初号機をカシウスの槍で貫いたことで途中で止めています。

カシウスとロンギヌスとガイウスの槍は何が違う

すでに頭が混乱しそうですが、徐々に解説をしていくのでご安心下さい。

まずこの途中で終わってしまったサードインパクトのことをニアサードインパクトと呼びます
(途中というのは魂の浄化までは進まなかったインパクトってことです)

単純にサードインパクトに近いものってことで認識すればOKです。

本来のサードインパクト=大地と魂の浄化(リツコ曰く世界の終わり)
ニアサードインパクト=大地の浄化のみ

浄化って言葉がまず分かりにくくなっていますが、「綺麗サッパリしちゃいましょ」ってこと。

要するに生き物が存在できない場所にしちゃおうっていうのが浄化の意味と捉えておきましょう。

そして冒頭から出てきたL結界密度という話は「人が生きられない世界を作っている結界の数値」と考えておけば問題ありません。

1だったら安全だけど10だったら即死とか、そういう数値がこの世界にはあるんだって分かっていればOKです。

そのL結界なるものもニアサードインパクトによって大地にもたらされたものです。
(ちなみに海の浄化はセカンドインパクトで行われています)

人どころか生物すべてにおいて機能するものです。

エヴァの世界において赤く染まった状態を「コア化」と呼びますが、これも言葉の由来は単純で「使徒のコアみたいな状態」になっているからと覚えておきましょう。

使徒のコアみたいってどういうこと?ってなりそうですが、先にも伝えように「生き物が存在できない世界」が赤く染まっているコア化の状態だと分かれば理解としては問題なしです。

そして、そのコア化した状態を一部分解除してしまうのが「アンチLシステム」という訳です。

とっても素敵システムです。

そしてその素敵システムを搭載したものが本編でマヤたちが起動させた黒い筒状の大きな物体になります。

アンチLシステムを持つこの黒い筒状の物体を相補性L結界浄化無効阻止装置と呼びます。難しい名前ですので覚えなくてもストーリーの進行理解には全く問題もってありません

パリの大地に打ち込まれた瞬間にパっと元の色合いに戻ったのを覚えているでしょう。

L結界密度が本来の世界(元みんなが生きていた大地)に戻ったことを示しています。
(効果範囲内のコア化が解けたってことですね)

当然ながら範囲があるので全てが戻る訳ではなく、パリ中心地でNERVがあった場所を回復させたに留まっています。

ここで2号機の部品や8号機の換装部品、補給物資を回収しています。
(パリを救っている段階ではアスカの2号機は動かせない状態にあったと言えます)

エヴァンゲリオンが敵として出てくる

アンチLシステムを起動するまでの間、守り人として存在したのが真希波マリが乗っているエヴァ8号機です。

そこに現れたのがエヴァンゲリオンマーク44Aと44Cと44Bでした。

まぁ数字は別に気にしなくてもいいです。

要するにヴィレであるリツコやマヤ、そして真希波マリからするとアンチLシステムの起動を阻止しようとする敵と認識していればOKです。

エヴァって味方じゃなかったの?」って話ですが、劇場版:Qの時点でヴィレという組織がNERV壊滅を目論む組織だというのは分かっていると思います。

ヴィレはカジさんが創った組織。NERVの行おうとする人類補完計画に反旗を翻した組織でNERV壊滅を目論む
※但し創設者のカジは人類の手で補完計画の阻止は不可能と考えていた様子。よってカジの本来の目的はインパクトによって浄化され生きられなくなった生物の種子などを残す方舟としての役割。

逆にNERV側にはゲンドウや冬月がいます。

この場面はゲンドウや冬月側から差し向けられた敵だという解釈をしておけば話が分かりやすくなります。

最終的にこのマーク44シリーズは真希波マリのエヴァ8号機によって大破させる事に成功しました。

「まてまて、人類補完計画を説明せんかい」となるのは当然でしょう。

ここも簡単な理解にしておきます。

エヴァの世界の人類には2つの選択枠の未来しか残されていませんでした。
1つ目が「使徒に滅ぼされる未来
2つ目が「使徒を殲滅して自ら神の子として生き続ける未来
ゼーレが目指した人類補完計画というは2つ目である神の子となる手法に他なりません。
海と大地と魂を浄化して全てが1つになることで知恵の実と生命の実をもつ完全なる神の子となる計画が人類補完計画となります。

非常に難しい説明に思うかもしれませんが、生死を超越して全てが一体となり「誰かと誰かが違う存在」というのを認識する必要もなく格差も飢餓も寂しさも存在しない完全ある生命体になることを意味すると考えておきましょう。

他者とか気にせずに生死も気にしない神になろうよ、って感じです。

ちなみに他者との隔たり、人の心の壁を意味するのがATフィールドとなります。

シンジとアスカとレイは第3村へ

冒頭のアンチLシステムっていうものを紹介して、ようやく主人公であるシンジに舞台は戻っていきます。

シンジは意気消沈しています。

「なんでそんなにショック受けてるん?」ってなる人もいるかもしれませんが一応解説します。

下記がシンジがやっちまった(って思ってるのも含めて)もので今沈んでいる理由。

  1. (破)レイを助ける為に初号機を覚醒させてサードインパクト発生
  2. (Q)自分がサードインパクトを起こしたことをカヲルから聞く
  3. (Q)カヲルと共に世界を戻そうとするが失敗
  4. (Q)戻すどころかカヲルが悩む中で槍2本を掴んで再覚醒
  5. (Q)フォースインパクトの序章発動
  6. (Q)カヲル君の首が目の前で吹き飛んでしまう
  7. (Q)フォースを止めたのも結局はカヲル

意味不明な部分もあるかもしれませんが、単純に言えば「良かれと思ったことを他者が尻拭いしてくれて、しかも死んじゃった」っていうのを捉えていれば良いでしょう。

自分が動くとろくな事が無いって思ってしまうに十分な出来事が起こりました。

一緒にピアノを弾いて楽しんだ友達であるカヲル君の首が目の前で吹き飛んだことはシンジの心に大きな穴を開けてしまったということです。

しかも知らぬ間に14年という月日が流れていて救ったはずの綾波レイもいないという心が疲弊している時に良くしてくれた友達です。

そんな意気消沈のシンジと共にレイとアスカはコア化された赤い土地を進んでいきます。

シンジはコア化した大地で長くは活動できず意識を失ったところで車が到着して村に運ばれます。

目を覚ましたら目の前にいたのが大人になったトウジでした(医者の姿でしたね)。

村での生活が描かれた意味は大きい

すでに大人になっているトウジとケンケンに第3村という運ばれた場所で再会するシンジです。

でも意気消沈してるので何も喋りません。

アンチLシステムの黒い筒のお陰で一部がコア化を解除されていて村を形成して生き残りが集まっていました

この村の様子というのがエヴァンゲリオンで描かれた意味は非常に大きなものになります。

全作品を通してどこか空虚であり現実味や人間同士の有様は描かれていなかったからです。

シンジが最終的に目指していくのは「この村のような普通の世界」というのが色濃く伝えられた部分となります。

何も知らないレイの面白さ

レイはクローンです。

しかもここにいるレイはシンジの助けた綾波レイとは違っています。
(アスカには「初期ロット」と呼ばれています)

エヴァに乗って命令を受けた事だけを遂行するために作られてものであって自由に社会生活を送るようには出来ていません。

よって基本的な社会事象の言葉の意味を知らないのです。

最初にトウジと委員長の間に生まれた赤ちゃんを見た時に「何コレ?」と発言しています。

人間なのに何で小さくしたの?」と面白味のある言葉。

レイからすれば14歳の今の体からの出現が基本であり、成長もせぬまま体が崩壊するまでずっと同じ体の大きさです。

トウジたちは「赤ちゃん初めてみるんか」と最初は小さいことを伝えます。

トウジと委員長の家に泊まって生活する事になるレイですが、言葉の意味もここで少しずつ学んでいきます

「おやすみ」「おはよう」「ありがとう」「さようなら」

レイが死に際に書いた手紙が感動を呼ぶものだったのは観ていると分かったかと思います。

少しずつながら人間としての感情が芽生え始めていたと言えます。

怒るアスカとリリンもどきのシンジ

レイはドウジの家で寝泊まりしますが、意気消沈のシンジは違います。

ケンケンに連れられて山奥の住処に連れられました。

そこにはアスカもいます。

アスカはすでに手慣れた様子であり、ケンケンとの面識はここが初めてではないことを示しているとも言えます。

登場時は全裸でシンジの前に堂々と見せます。

私の裸よ、ちょっとは赤面して感激くらいしなさいよ」というアスカ。

さすが実際の年月としてシンジよりも14年分大人になっているだけのことはあります。

もう裸くらい見られた程度では全く動じなくなっています

とはいえ世の中の28歳くらいの女性が中学生の男子に裸を見られてどう思うのかは分からないですが。

エロ展開の脱線はさておいてアスカは意気消沈のシンジにイライラが募ります

というか観ている方も「なんやねん!いつまでも!」って思ったりしたんじゃないかなって感じます。

シンジはケンケンの住処でも端っこの方に寝てるだけのヘタレです。

そこに無理矢理アスカはレイションを食べさせます。

さてレイションってなんぞやって人もいると思いますので解説。

レイションっていうのはエヴァンゲリオンだけに出てくる用語ではなく「食料」を意味する言葉です。

主に軍隊に配給される携帯用の簡易食料のことをコンバットレーションと呼び略してレイションと言われたりします。

レーションと伸ばすのかレイションというのかは人次第でしょう。

綴りはrationになっています。

さてレイションについては単なる英語だったので良しとして、アスカがシンジに食料を食べさせる時の言葉。

このリリンもどきが」って部分です。

ここは「ん?」ってなる人もいるかもしれません。

エヴァの世界においてリリンとは「人間」のことを意味しています。

リリンは人間ってことなので、シンジは「人間もどき」ってことになります。

え?人間ちゃうの?ってなりそうなところですが、シンジはサードインパクトを引き起こした後でエントリープラグの中で「再現」された存在です。

どゆことだ?ってなりそうです。

使徒・・・とは言わずとも似たような存在になってしまっていると思っておけば大丈夫です。

だから人間だけど成長しない部分などはアスカたちと同じってことです。

14年経ってもシンジが成長していないのはそのためです。

でも人間の部分もあるから食べないと死ぬってことですね。

アスカは劇場版:破で完全に使徒化してしまったので成長もしなければ食料もいらず睡眠も不要となっています。

アスカが使徒として活動を制御しているのもアンチLシステムです。物語の後半にてアスカが眼帯を付けた左目から小さなアンチLシステムを搭載した黒い筒を抜き取るシーンがあります。ここでアスカは使徒の力を使うことになりました。

レイはシンジを好むように作られた

レイは村に馴染みながら田植えなどを手伝っています

この時に「仕事」っていうのが何かも学びました。

「汗水たらすってこと」って言いながら田植えをしているレイは今までの作品で一番可愛い瞬間な気がしました。

少なくとも最大の人間性を手にしている状態と言えそうです。

社会生活を最も出来ていなかったレイが大地の浄化がされてしまった少人数での世界で社会に溶け込むという構図の面白さが伝わります。

このトウジも住んでいる第3村はKREDIT(クレーディト)という組織によって賄われています。

住んでいるのは1,000人ほどで流石に全てを自給自足は出来ません。

KREDITに関してはヴィレが作った支援組織であり、ヴィレとの連絡も司っています。

この連絡係の一人がケンケンという訳です。

よってヴィレの少佐であるアスカと面識があってもおかしくは無いわけです。

ちなみに今作でのアスカを支える人物として最終的に君臨するのがケンケンなのは終盤でのアスカの「頭をなでてほしかった」の発言で現れる時に分かります。

旧劇と言われるアニメ版だとカジさんがその役割を担いそうなところでした。

脱線しましたが、社会生活に慣れつつあるレイはシンジに対して毎日のように食料を運び続けます

それこそ数ヶ月という時間が過ぎていきました。

アスカもシンジを監視する役目を負っているためシンジが一人でこもっているNERVの跡地である廃墟に足を運んでいました。

アスカが見張る理由は「またシンジが何かしらの暴走をするかもしれない」というヴィレの考えに基づくものでしょう。

レイが最初にアスカのもとを訪ねてシンジのことを聞いた時に「私達は最初からプログラムされている」という話をします。

レイに関しては「第3の少年(シンジのこと)」に好意を抱くように設計されていると言います。

それでも構わない」と言いアスカから場所を聞いてシンジの元にあしげく通うのでした。

シキナミタイプであるアスカもまたレイと同じくクローンである事がはっきりしたシーンでもありました。

初期ロットのレイの最期はLCL化する

さてここで改めてレイの話をしておきます。

アスカがレイのことを「初期ロットか」という言い方をしているのを耳にしたはずです。

簡単に言えば最初に作られたレイの一人ということになります。

当然ながらクローンであるレイは大量に作られていました

その一つということで後に登場するアドバンスドアヤナミシリーズとは違っています。

実はNERVの外ではあまり長く生きられない運命にあるのが初期ロットのレイです。

アドバンス=高度とか進歩という意味です。

完成品とも取れるアヤナミのクローンが後に登場してエヴァンゲリオンMark9~12に乗ることになります。
(真希波マリが食べて8号機+9+10+11+12って感じになりますが、こちらは後で説明します)

とりあえずここでは「レイは最初の方に作られた完全じゃないクローンの1体なんだな」って考えておけばいいです。

そんな村で過ごしている初期ロットレイの最期はシンジの目の前でLCL化するものでした。

LCL化って何だ?ってなりそうなので軽く解説を入れておきます。

LCL化というのは生物の素である「生命スープ」に戻る現象を言います。肉体を維持できなくなった時に発生しますが、この世界では魂は別の場所での存在が可能であるためLCL化=死というのはちょっと違います。

難しい部分ではありますが、記憶などはLCL化によって消滅してしまうので他者からすれば「死」と同じ概念で見えてもおかしくないでしょう。

よってシンジの目の前でLCL化したということはシンジからすれば村にいた初期ロットのアヤナミが死んだことを意味します。

ここでシンジはまたふさぎ込むのではないかって感じましたが違います。

すでにレイがあしげく通い続けたことで心の回復はしていました。

では少し時系列を戻してシンジについてお伝えします。

シンジは回復してケンケンと行動

レイは通い続ける日々の中である日「碇君は何をしているのか」と問われます。

これはアスカが何もせずにいることをレイに尋ねられた時「私は村を守ってる」と言ったことに寄与します。

村は基本的に農業生活で成り立っています

レイはその農業という仕事を一緒に行って社会の一員になろうとしていました。

当然イヤミで言っているのではなく単純な疑問をぶつけているだけです。

ショックを受けて塞ぎ込んでいるとか、そういうことは全く分からないレイです。

「おやすみ」「おはよう」「ありがとう」も分からないレイですから当然といえば当然でしょう。

そこでレイは「アスカと同じで村を守っているのか」と質問。

そんな訳がないシンジは「守ってなんかいない」と自分が全ての元凶でこの状況も自分が起こしたのだと叫びます。

なぜ全ての元凶になった自分にみんなが優しくしてくるのか分からなかったシンジ。

レイは一言「みんな碇君のことが好きだから」と伝えます。

これでハっとした表情を見せてシンジは塞ぎ込んだ心から少し開放されました。

動けるようになったシンジはケンケンの手伝いをします。

ケンケンも農業を免除してもらっている代わりに村周辺のインフラを調べています。

村の水源やヴィレの置き土産というアンチLシステム搭載の黒い筒。

最初にお伝えした相補性L結界浄化無効阻止装置って名前を教えてくれたのはケンケンでした。

そしてもう1つ首なしエヴァがアンチLシステムの起動面の外側を徘徊するシーンが見えます。

首なしエヴァってなんやねん!となるはずです。なりませんか?

首なしエヴァ=エヴァインフィニティのなり損ないと考えていいでしょう。

おいおい、そもそも「エヴァインフィニティ」ってなんぞやってなりますね。

インフィニティというのは「無限」といった意味の英語です。

エヴァインフィニティ=知恵と生命を得た完全な生物と解釈しておくと良いでしょう。

コア化した世界でも生きられる完全な生命体の一つがエヴァインフィニティです。

首なしというのは言ってみれば知恵がなく生命の実だけで存在する「なり損ない」なのです。

これがアンチLシステムの結界とも呼べる範囲の外側、つまりコア化された赤い大地に多く出現しています。

加持リョウジと出会うシンジ

ケンケンと共にコア化した大地の中でヴィレが実験を行っている場所に向かいます。

コア化した大地に関しては歩けない訳ではなく最初に伝えたL結界密度が濃すぎて生物が生きられないだけです。

よって化学防護服のようなものを身にまとえば短時間は移動が可能と考えていいでしょう。

実験場所では小さめのアンチLシステムの実験が行われているように見えます。

ここで出会うのが「僕は加持リョウジ」と名乗る14歳の少年です。

あのカジさんとミサトの間に生まれた子供

但しこの息子カジには両親のことは伝えていないとのことでした。

ミサトもヴィレの司令官として息子を守る選択をした様子。

またここでカジさんがサードインパクトを止める為に亡くなった事実を告げられます。

またシンジの心の傷を抉る感じになりましたが、もう沈み込んだりはしませんでした。

こうやってケンケンを手伝う中でシンジも村社会の一員となっていきました。

先程も伝えましたが、この普通にある社会での生活というのは作品において非常に重要な意味を持っています。

シンジが望む世界の形」が今私達が生活している世界なのだと分かるための一助になるからです。

ここでケンケンは委員長とトウジの馴れ初めについてシンジに話します。

ニアサー(ニアサードインパクト)の後の混乱などが理由で仲良くなって今に至るのだと。

ケンケンが伝えたかったのは「ニアサーも悪いことばっかりじゃなかった」って部分でした。

シンジにとっては救われる一言だったに違いありません。

そしてレイの最期を見届けて涙するシンジですが、覚悟が決まったとも言える瞬間でした。

初期ロットのレイが最期に発言した言葉。

「稲刈り、してみたかった」
「つばめ、もっと抱っこしたかった」
「みんなと一緒に、もっと生きたかった」

感動を呼ぶシーンと言えるでしょう。

レイはLCL化する直前に元はシンジの父親のものであるカセットデッキと渡します。

父親と向き合う覚悟が少しずつ出来ていることを示すシーンでもあるでしょう。

レイに名前を付けてとお願いされていた

レイはシンジに村社会での生活のために名前を付けて欲しいと願い出ていました。

最終的に名前を決める事が出来ず「綾波は綾波だよ」という言葉だけを伝えるだけでした。

この名前を付けるというのも、シンジが後に目指していく他者との違いを認め合いながらも受け入れて生きていく世界の創生に繋がっています。

名前は人それぞれであり、人同士の隔たりを示す代表的な記号だからです。

新世界の創生みたいな話をしていますが、実際に私達が生きているこの世界こそシンジが望む新しい世界の形になることは忘れてはいけません。

よってエヴァが存在している今のシンジたちが生きている世界というのは私達が生きている今この世界とは違うって認識は改めて持っておくと分かりやすくなります。

ヴンダーに戻るシンジ

アヤナミのLCL化をきっかけとしてヴンダーに戻る決意をしたシンジです。

アスカも同じく船に戻りました。

ここで改めてトウジの妹である鈴原サクラに「勝手に出ていって乗るなっていったのにエヴァに乗り腐って」と涙ながらに攻められています。

女房か」というアスカのツッコミは中々に秀逸と言えるでしょう。

なぜそんなに涙する必要があるんだって感じますが、これも後々に分かりました。

ニアサーによってサクラの両親も死んでしまったのでシンジは仇ながら、もしシンジがあの時に初号機に乗っていなければ全員死んでいたことから命の恩人でもある。そのねじれた関係だからこそ「エヴァに乗った」と攻めながらも生きていたことについて涙するサクラの様子が見えたわけです。

今回の隔離はDSSチョーカーを付けずにシンジを幽閉しました。

ミサトの判断ですが、信じたいミサトの心が揺れているのを感じます。

DSSチョーカーとはエヴァが覚醒するリスクおかす前に首を爆発させてパイロットを死なせてしまおうという代物。しかしエヴァンゲリオン劇場版:Qにおいて脱走していくシンジに向けてDSSチョーカーの発動をミサトは躊躇して使えずに終わります。シンジの真横でカヲルが首チョンパされたのもDSSチョーカーの爆発によるものです。

完全ある個室といった場所で一人幽閉されることになったシンジです。

なぜ戻ったのかを疑問に思われても不思議ではないでしょう。

これもレイの死からシンジなりに考えた「過去の清算」にあると言えます。

ヤマト作戦が始まる

黒き月とNERV本部がセカンドインパクトの爆心地である南極に向かっているという情報がミサトたちの元に入ります。

ここからミサトが艦長を務めるヴンダーは「フォースインパクトのトリガーたるエヴァ13号機の無効化」に向けて作戦を発動させます。

作戦名は「ヤマト作戦」となりました。

先述しましたがヴィレの目的はNERV組織の壊滅ですが、創設者のカジさんは「人に人類補完計画を止めるすべはない」と考えていました。

よってヴンダーのカジが考えていた役割は滅んでしまう生物を地球から逃す方舟とすることだったと言えます。

しかしミサトはヴンダーを「生命を逃がす方舟ではなく、守るための戦艦として使う」と明言しています。

地表面にカジと自分の間に生まれた息子がいるのも大きな理由の一つとなります。

ヤマト作戦に際して宇宙空間にあったヴンダーを南極に向かわせる必要がありました。

そこで今まで集めてきた種子を含む方舟の機能を切り離して宇宙空間に逃がすミサト

一応ながらもカジの目指した結果もこれで完遂したと言えます。

ヴンダーは宇宙から大気圏を突入してL結界の境界面にまで出ます。

境界面は六角形の結合体で出来た真っ白な場所です。

L結界境界面は六角形の物質で出来ている

L結界境界面は六角形の物質で出来ている

これはある場所の壁ですが、地表に即していっぱいに広がっているところがL結界境界面となります。

境界面よりも下はコア化したL結界濃度の高い世界です。

いきなり入っていけばいいって気もしますが、どうやら密度によってヴンダーが入れる境界面がある様子が描かれていました。

この隙きを狙ってヴンダーと同じタイプの艦であるNHGエアレーズング(以後ややこしいので2番艦と表記)が現れて交戦することになりました(ちなみにNHGの1番艦がヴンダーです)。

火力で圧倒する2番艦ですが、ヴンダーは無人指揮全自動の方舟として運用するものだったので戦艦としての火力面では未完成のままカジがNERVから奪取。

ちなみにこのNHGシリーズには1つ1つエンジンとしてエヴァが存在しています。

ヴンダーはエヴァMark09でしたが、これは初号機が取って代わっているということです。

2番艦から4番艦までありますがそれぞれエヴァMark10~12までが使われていました。

後でMark09が個別でヴンダーを乗っ取りに来るシーンがあります。

エヴァンゲリオンMark09~12までに搭乗しているのがアドバンスドアヤナミシリーズとなります。

圧倒的な火力を有する2番艦から逃げつつL結界内部に侵入していくヴンダーです。

目指すは先程伝えたセカンドインパクトの爆心地である南極のNERV基地であるカルヴァリーベースに向かいます。

カルヴァリーベースは南極基地の名前です。他にも北極はベタニアで月面がタブハ。どれもキリスト教とゆかりのある土地の名前となります。

そこに黒き月とNERV本部、要するにゲンドウがいます

さて、よく出てくる黒き月ってなんぞやって話をしておきます。

どんどん話がややこしくなっていますが、これも単純な感覚で覚えるといいです。

黒き月は生命誕生の素となる種となるリリスの卵のような存在です。この卵、実は白と黒の2種類があります。本来は1つの惑星に対して1つの月が生命の種になるのですが、地球には2つ降り注いでしまいます。白き月はアダムの卵であり、地球に黒き月より先に衝突しました。第一使徒であるアダムであり生命の実を有している存在です。そして黒き月のリリスは知恵の実を有しています。

何のことだってなりそうですよね。

単純に言えば片方だけのはずが2つ来てしまってケンカしちゃってるのがエヴァの世界の地球って感じでOKでしょう。

更に話は難しくなっていきます。

最初に白き月が地球に到達したのですが、次に黒き月が地球に衝突して最初のインパクトが発生しています。

これが「ファーストインパクト」です。

本当は白き月のアダムが地球支配の役割だったのに割り込んで黒き月も衝突して生き物をリリスが作っちゃったみたいな状況。

白「やったー地球は俺が生命創るんだ~」
黒が後からドーン!
黒「あ、ごめん、失神しちゃった?まぁ来ちゃったから私が創るね」

ってもんです、適当ですみません。

黒き月の衝突「ファーストインパクト」によって月が出来ます

アダムと放った使徒はこのインパクト眠らされてしまいました。

結果的に第2の使徒であるリリスが地球の生命の種を司って人間を含める死が存在する生き物が誕生します。

この黒き月の衝突時に月が生まれているので、エヴァの世界では地球の歴史がまだ浅い段階で巨大な隕石によって地球内部を抉る様な様子で月が出来たというの天体衝突説は作り話とされています。

月の科学と人間の歴史は月についての様々な見識を与えてくれるのでオススメです。

実際の月の成り立ちはさておいてエヴァの世界で1つのアダムとリリスが対してしまう状況になったのが何となく分かれば問題ありません。

白「おんめぇ!起きてみたら、こんなもんおかしいやろ!」ってことでしょうね。

そんなやり取りがアダムとリリスであったのか無かったのか。

話をヴンダーが結界内に迫るところに戻しましょう。

L結界内部でNERV本部を強襲

境界面からL結界に入り込んだヴンダー

最初に入り込んだ時にはエヴァンゲリオンインフィニティが多数存在していたのを確認出来ます。

エヴァインフィニティは先程伝えた通り、コア化した世界における完全ある生命体(死とかないので生命体と呼ぶのかも定かではありませんが)だと考えておけば問題ありません。

後ろから迫っている2番艦と3番艦(どちらもヴンダーと同じタイプの艦です)。

攻撃を避けることは出来ずヤマト作戦に必要な誘導ミサイル(戦艦ヤマトの形をしている)のみをATフィールドで守りながら13号機があるNERV本部に向かいます。

そして黒き月の陰からNERV本部が見えた瞬間にヤマト型誘導ミサイルの発射です。

前段見事に命中して13号機の居場所が分かりました

NERV本部は移動可能で四角錐の様なものがNERV本部となります。

爆破した後、エヴァンゲリオンMark07という量産型の大群が押し寄せてきました。

この大群に対応するのが真希波マリの改8号機と新2号機となります。

銃撃やらチェーンソーみたいな武器でどんどん消滅させていくシーンは圧巻だったと言えるでしょう。

基本的には量産型エヴァは非常に弱い存在。

ただ量が半端じゃないので多数の武器を搭載していたにも関わらず不足してしまっていました。

そして13号機のいるNERV本部に着地する改8号機と新2号機

真希波マリとアスカはシンジと会っていた

新2号機と改8号機で戦闘に出る前にシンジに会いに行った真希波マリとアスカ

真希波マリは背中に胸を教え当てて「だあれだ」と言います。

分からないと答えるシンジですが「屋上」「メガネ」「胸の大きな」「いい女」とヒントを与えます。

そして屋上にパラシュートで現れたマリだとわかるシンジです。

アスカはシンジに対して、以前の質問を再度聞くと「自分が何も決めなかったから」と少しは大人になったところを見せています。

シンジに対して「あの頃はシンジの事が好きだった」というアスカ。

しかしながらアスカはシンジよりも先に大人になってしまったと言います。

光の翼とガフの守人である黒き月

このあたりからエヴァファンじゃないと「どういうことやねん」ってなる展開が続発していきます。

すべての詳細を語ることは出来ませんが、初心者でも最終章である:‖を観た内容が何となく分かるように解説します。

まずNERV本部にミサイルを命中させた後、2番艦と3番艦はヴンダーに攻撃を仕掛けずに黒き月の両サイドに回って光の翼を出します。

光の翼って何なん!?ってなりそうですが、セカンドインパクトの時に出てきたアダムスの翼です。

エヴァンゲリオン セカンドインパクトで現れた4体のアダムス

エヴァンゲリオン/庵野秀明監督
セカンドインパクトで現れた4体のアダムス

インパクトを起こす時に必要なものですが、これをNHGというアドバンスドアヤナミシリーズを主としたアダムスの器である2番艦と3番艦に擬似的に翼を作り出させたということです。

おいおい、アダムスの器ってなんやねんとなります。

白き月と黒き月の説明で行った地球に最初に到来した白き月のアダムは複数体存在するのでアダムスと複数形になっています。そのアダムの魂の器として存在するのがアダムスの器です。

アダムスの器については細かく考えると非常に理解が困難になるので割愛します。

(ぶっちゃけた話、私もどれがどのアダムスであり、どの機体をもとにどの機体が作られたのか分かっていません、ごめんなさい)

とりあえず抑えて欲しいのは第一使徒であったアダムスの魂を入れる器がアダムスの器という点です。

そしてアダムスの器にはインパクトを起こすために必要な要素ってことです。

NHGシリーズのエンジンとなっているアドバンスドアヤナミシリーズが乗ったエヴァンゲリオンMark09からMark12までは全てアダムスの器であり、セカンドインパクトの疑似的な翼を出すことが出来ます。

またアダムスの器がないと地獄の門をくぐってマイナス宇宙にはたどり着けないんだって情報があれば基本のストーリーには差し支えなく理解出来ます。

これによってガフの守人である黒き月マテリアルとして見知らぬ槍を生成しているとリツコが発言していました。

もうこのあたりから「無理だ」って感じでお手上げになった人も多そうです。

ガフの扉ってそもそも何なのってことでしょう。

魂が集まる場所の入り口=ガフの扉

こう認識しておけば大きく外す事はありません

実はガフというのはヘブライ人の伝説にある「ガフの部屋」から来ています。

その辺りを詳しく知りたい方はユダヤ系の伝説を纏めた本を読んでみるといいかもしれません。

ガフの扉を守っていたのが黒き月だったってことです。

この黒き月を素材(マテリアル)にして新たな槍を作り出そうというのがゲンドウと冬月の考えた策です。

ゼーレのシナリオもこのあたりまでは逸脱せずにそのままとなっています。

リツコは見知らぬ槍と言っていますが、魂の浄化を行うフォースインパクトを起こすために必要なものとなります。
(ゲンドウはこの槍を持ってアディショナルインパクトを起こそうとしています【後述】)

ちなみにゲンドウが起こそうとしているインパクトをリツコは「アナザーインパクト」と呼称していました。

魂の浄化であるフォースインパクトとはまた違ったゲンドウの望みを叶えるインパクト。

後にこの2本の槍はロンギヌスの槍とカシウスの槍に変化します。

ロンギヌスとカシウスとガイウスの槍とは

NERV本部でアスカが使徒化する

NERV本部に到着した真希波マリとアスカの改8号機と新2号機。

13号機の腕だけの様なエヴァと戦いながら進んでいきます。

途中真希波マリが腕だけ13号機を引き受けてアスカが本体で対象となる13号機のもとに向かいました。

槍を2本刺された状態で横たわっているエヴァ13号機

この2本の槍は劇場版:Qにてカヲルが13号機に自ら刺した2本のロンギヌスの槍になります。

ロンギヌスの槍が2本刺さっている13号機のコアに停止信号プラグを差し込めばエヴァは動かなくなります。

新2号機でこの停止信号プラグを差し込もうとする瞬間ATフィールドが展開されます。

13号機はATフィールドを持たないエヴァ。

なぜここでATフィールドが?となるアスカですが、新2号機そのもののATフィールドであることを理解します。

新2号機が13号機を恐れて拒絶や隔絶の象徴とも言えるATフィールドを停止信号プラグと13号機の核の間に展開させたということです。

ここでアスカは最後の手段に出ます。

眼帯をしていた左目からアンチLシステムの小さな黒い筒状の装置を取り出します

:破でアスカは使徒化しましたが、この装置によって使徒の力を制御していたということです。

外した事で使徒の力を使える状態にしたアスカは新2号機が展開したATフィールドを無効化。

停止信号プラグを再度差し込もうとしますが、ここで13号機が起き上がりアスカを攻撃

ゲンドウのシナリオでは使徒化したアスカも必要だったのです。

この段階でアスカは「オリジナルの私」という表現をするシーンがあります。

式波・アスカ・ラングレーはクローンなので、この時のオリジナルは旧劇(アニメ版)に登場した惣流アスカラングレーと考えることが出来ます(惣流アスカラングレーはクローンではありませんでした)。

アスカは13号機に捕食され取り込まれてしまいます

逸早くゲンドウの策に気付いたのは真希波マリでした。

NERV本部から逃げて態勢を立て直すべくヴンダーに向かいました

ヴンダーはエヴァMark09に乗っ取られる

NHGというヴンダーの機体シリーズの総称ですが、各々に核となるエヴァが搭載されています。

本来NHGシリーズはMark09がヴンダーで2番艦がMark10、3番艦がMark11、4番艦がMark12となります。

ヴンダーについては初号機になっているのでミサトが扱っているのは初号機を核とした機体になっています。

黒き月を素材として2番艦と3番艦で光の翼を作り、槍を生成しようとするゲンドウたち。

これに対するべく攻撃を仕掛けようとするヴンダーですが、4番艦がここで現れて主砲を全て大破されてしまいます。

更に元々のヴンダーを扱うエヴァであるMark09が現れて乗っ取りを図ります。

すぐさまヴンダーは乗っ取られて艦の操作が出来なくなってしまいました

そして4番艦と乗っ取られたヴンダーも光の翼を出してインパクトの準備を整えていきます。

ゲンドウはネブカドネザルの鍵で人間をやめた

ヴンダーの外にゲンドウの姿を見るミサト。

外に出てミサトとゲンドウの会話です。

この段階でゲンドウはすでにネブカドネザルの鍵を使って人間をやめています

リツコに銃で撃たれて頭が破壊され脳が落下してもそれを拾い上げているゲンドウ。

異常性ここに極まれりって感じです。

ネブカドネザルの鍵については「神と魂を紡ぐ道標」と言われているもので、後にゲンドウが起こしたいアディショナルインパクトの中心人物となるために必要なものと考えておきましょう。

ネブカドネザルの語源はメソポタミア文明の王の名前です。バビロンといえば分かりやすいでしょう。古代で最大級に栄えた都市であり、バビロンの大富豪は漫画化もされて非常に売れた書籍の一つです。

ネブカドネザルは2世が最も有名でありバビロンの空中庭園を作ったのも彼。またバベルの塔のモデルとなった建造物もバビロンにあったとされています。旧約聖書にはネブカドネツァルとして登場する人物でもあります。
旧約聖書新改定2017年版
バベルの意味はアッカド語で「神の門」を指します。マイナス宇宙に繋がる地獄の門と通じる言い回しです。

ゲンドウは望みを叶えるために自分自身を中心としたインパクトを起こす必要があったのでネブカドネザルの鍵を使用する事でアダムスそのものに近い存在になったのではないかと推察される。
(アダムスは生命の実を食べた無限の命を持つ存在で地球に最初に降り立った白き月より生み出されました)

そんなゲンドウとミサトとの会話で人類補完計画の事が語られます

各インパクトが何を示していたのかも明言されたところです。

セカンドインパクト=海の浄化
サードインパクト=大地の浄化
フォースインパクト=魂の浄化

セカンドインパクトを起こしたミサトの父である葛城博士

ミサトは「父の世迷い言」とここで終わらせるべく動いていることを明言しますが、ゲンドウからすればもう関係のないことです。

お互いの真理に対する見方の違いに過ぎないと言い、初号機を回収して13号機と共にインパクトを発生させるべく地獄の門へと向かいます。

地獄の門というのはマイナス宇宙の入り口で中には神が残したゴルゴダオブジェクトがあります。ゴルゴダオブジェクトの中でゲンドウは自分の思いを遂げるためのインパクトを起こす必要がありました。リツコがアナザーインパクトと呼んだものです。

幾つも意味不明になりそうな用語が連続しました。

ゴルゴダオブジェクトというのはゲンドウがアディショナルインパクトを実施するのに必要な虚構と現実を融合させるのに必要な世界への入り口だと考えてください。

虚構と現実の融合というのは簡単に言えば妄想が現実になっちゃうもしもボックス的なことです。

表現としては「運命を変えられる唯一の場所」となります。

マイナス宇宙⇒ゴルゴダオブジェクト⇒虚構の世界でアディショナルインパクトとなります。

通常の世界とマイナス宇宙は地獄の門で繋がる。ゴルゴダオブジェクトはアディショナルインパクトを行える場所(虚構と現実の融合)

通常の世界とマイナス宇宙は地獄の門で繋がる。ゴルゴダオブジェクトはアディショナルインパクトを行える場所(虚構と現実の融合)

マイナス宇宙とは何か

虚構というのは簡単に言えば「誰かによって作られた世界」ってことです。

ドラマとか映画とか小説とかマンガとかも全部言ってみれば虚構の一つです。

フィクションという感じ方をしてもいいかもしれません(ちょっと違いますが)。

誰かが作った世界。

マイナス宇宙ではその主たる媒介者は自分の思う通りの世界を虚構内に作れます。

この虚構と現実の境を無くしてしまうインパクトがゲンドウが目指したアディショナルインパクトになります。

思い通りにしてユイに会ってから人類補完計画を完遂させようっていうのがゲンドウのシナリオでした。

アディショナルインパクトでゲンドウがしたかったこと

シンジが父さんとの対峙に挑む

ゲンドウが去り、シンジが追うことを決めます

僕が初号機に乗るよ

これはシンジが真っ向からお父さんであるゲンドウに向き合う姿勢を示したと言えます。

ミサトは「今のシンジくんに賭けてみたい」と言い他の乗員を宥めます。

しかしサクラは納得せずにシンジを怪我させてエヴァに乗れないようにしようと銃を向けて発砲

それがミサトに当たってしまいますが、死んだりはしていません

ここで先述した仇であり命の恩人という話が出てくる訳です。

ニアサードインパクト=サクラは両親を失った(シンジが仇)

しかしながらシンジがあの時エヴァに乗っていなければ人類は滅んでいました。

結果的にサクラたちが生きているのはシンジのお陰ということです。

話がまとまったところで8号機に乗った真希波マリが現れてシンジを連れて行きます。

真希波マリはこの間にヴンダーを乗っ取ろうとしたMark09を捕食しています。

Mark09はアダムスの器なので8号機+9は地獄の門を通過する事が出来ます

この状態をオーバーラッピングと呼称していました。

オーバーラップとはその名の通り「2つ以上のものが重なり合う」という意味になります。

よって8号機+9となった時点でオーバーラッピング状態のエヴァが完成しています。

ちなみにオーバーラッピングと言えばウルトラマンタロウに登場したスーパーウルトラマンが有名です。

ウルトラマンタロウに登場する複数のウルトラマンが合体した状態。

ちなみにこの時の名称が(ウルトラオーバーラッピングで別名ウルトラ6重合体=ウルトラシックスインワン)と言われています。
※庵野秀明監督はシン・ゴジラのコンビとしてシン・ウルトラマンを製作し2021年の夏に公開予定となっているので関係が深い。

真希波マリが「プラス・フォー・イン・ワン」と言っていたのを思い出しませんか。これも同じで真希波マリはシンジを救うべく冬月から渡されたMark10とMark11とMark12を捕食して、8号機+9+10+11+12という+4in1(プラスフォーインワン)という状態になります。

NHGシリーズにおけるエヴァMark09からMark12まではアドバンスドアヤナミを使っているので全てアダムスの器であり、地獄の門からマイナス宇宙に突入する事が可能となっています。

ゲンドウはネブカドネザルの鍵によって自らがアダムスと化したので地獄の門をくぐれます。

また真希波マリの改8号機についてもアダムスの器であるMark09を捕食したので地獄の門をくぐれる状態です。

エヴァオップファータイプとは

このタイミングで出てきた用語として「エヴァオップファータイプ」というのものがありました。

オップファーとはドイツ語で「犠牲」を意味します。

単純にアダムスの器として犠牲用のエヴァがMark09~12だったと考えていいでしょう。

真希波マリの8号機の犠牲として全て捕食されています。

マイナス宇宙に突入する

地獄の門を改8号機+9でシンジと共に突入した真希波マリです。

しかしゲンドウは量子テレポートを連続使用して捕まえられないようにしています。

マイナス宇宙は虚構の世界なので意思に基づいて自由なことが出来る場所。量子テレポートを繰り返して捕えられないようにしているゲンドウ。

シンジは問題ないと言い連れてきてくれた真希波マリに礼を言いました。

ここで真希波マリは「君がどこにいても必ず迎えに行くから待っているように」と伝えています。

マリエンドを発動させる重要な一言と言えるでしょう。

初号機に乗るシンジと譲るレイ

シンジは初号機の内部に移動し、髪の長いレイと対話します。

レイはシンジがもうエヴァに乗らなくて済むようにしたかったのに出来なかったと謝っています。

この綾波レイは村にいた「初期ロット」と呼ばれたレイとは違っています

:破でシンジが「アヤナミを助けた」と言っていた綾波レイ。

よって村で過ごした記憶は持ち合わせていません

そして、シンジはなぜ綾波レイの乗っている初号機の操縦席までワープしたの!?って話ですが、ここは虚構の世界なので願えば叶ってしまうって感じで見ておけば問題ありません

初号機いはユイの魂が組み込まれていることもシンジを容易に運ばせた理由の一つなのでしょう。

レイと代わってシンジが初号機に乗り込み、遂にゲンドウとシンジの親子対決が始まります。

ゴルゴダオブジェクトの中に入る2人

初号機にシンジが乗った事でゲンドウの13号機と揉み合いの状態になります。

父さんもうやめてよ」というのは今ゲンドウがやろうとしている事をシンジが本気で止めようとしている描写です。

この揉み合いのままマイナス宇宙の中にあるゴルゴダオブジェクトの中に侵入していきます。

ゴルゴダオブジェクトは先述した通り「ゲンドウの目的であるユイに会える場所(運命を変える事が出来る唯一の場所)」と考えて下さい。

ゲンドウはリツコの言った「アナザーインパクト(=アディショナルインパクト)」を実施しようとしています。

アディショナルインパクトを実施する理由は「ユイに会うため」というこの一点に集約されます。

アディショナルインパクトとフォースインパクトの違いについてですが、これは「ゲンドウがユイに会う」という工程が一つ追加された形になるもので新世界の創生の中心がゲンドウになるという意味合いがあります。

シン・エヴァンゲリオンのアディショナルインパクトは追加的要素

シン・エヴァンゲリオンのアディショナルインパクトは追加的要素

道筋の中にゲンドウの思いが追加的に付与されたと考えて貰えれば良いです。

結果としてゼーレの望んだ人類補完計画が成されることには変わりありません

虚構の中の戦いは記憶と想像の世界

ゴルゴダオブジェクトの中でゲンドウは初号機を渡すようにシンジに伝えます

しかしシンジはゲンドウと戦う決意をしました。

エヴァ初号機の最初の起動実験の様なシーンになり、そこにいる13号機と槍を持って戦うシンジです。

この時にシンジの持っていたロンギヌスの槍は形を変えて希望の槍であるカシウスの槍に変わります。

ゲンドウもこの槍の変化には少し驚いた様子で「希望の槍カシウスへと形を変えるか」と言っていました。

言ってみれば虚構の世界の中で「誰が支配権を持つのか」についての争いです。

また希望の槍カシウスに形を変えたシンジの槍はゲンドウと思いを違えることを意味していると言えるでしょう。

虚構とは先述したように「誰かによってつくられたもの」を意味してきます。

この「誰か」の「誰の部分」を決める戦いをしていると考えて下さい。

戦いの最中の建物などが置物っぽかったり、空が布と壁で出来ている特撮の撮影現場みたいになっているのは全てが虚構の中の戦いだからです。

記憶と想像を頼りに戦っているため現実のエヴァ同士の戦いよりも少しチープな感じに映っています。

またこのスタジオ感や特撮感についても2021年に公開されるシン・ウルトラマンの伏線的な意味もこもっている気がします。

シンジは全力で13号機のゲンドウと戦いますが、全く歯がたちません

更に戦いが進んでいくと初号機の動きと全く同じ動きを13号機がしているのに気付きます。

鏡合わせの状態。

初号機と13号機というのは円環の中での始まりと終わりを意味しています。

またゲンドウは「この工程も私にとっては必要なこと」と言い放ちました。

アディショナルインパクトの準備として初号機とリンクするような動きが必要だったと暗に示しているシーンがあります。

厳密にはシンジによって形を変えられたカシウスの槍が必要だったと言えそうです。

またゲンドウはこの世界での戦いが無意味であることも伝えました。

「暴力と恐怖」では何も止めることも変えることも出来ないのが虚構の世界です。

シンジもそれに気付きカシウスの槍を置いてゲンドウとの対話に移ります。

アディショナルインパクト発動

対話を始めたゲンドウとシンジ。

ここからは初号機と13号機という構図はなくなり生身のゲンドウとシンジの対話になります。

これもまた記憶の中でつくられた虚構の世界となります。

非常に分かりにくいですが、お互いに見たい世界を妄想して見ていると考えて下さい。

よってエヴァの戦闘時もシンジには新東京やミサトの部屋や第3村に見えていてもゲンドウは違う場所で戦っているイメージを持っていた可能性は十分にあります。

マイナス宇宙という虚構の世界ではこういったお互いの妄想の世界に入り込んでいるという状態になります。

そしてそこでシンジとゲンドウは黒いリリスのもとに行きます。

シンジが「黒いリリス」という表現に対して「お前にはそう見えるのか」とゲンドウが言いました。

まさにこれが虚構の世界です。

シンジが作ったビジョンとして黒いリリスが存在しているだけであり、ゲンドウには全く別のものに見えていることも十分にあるということです。

これもまた「人が見ているものと自分が見ているものが一致するかどうかは誰にもわからない」という哲学的なニュアンスをはらんでいます。

他者同士が本質的に分かり合えないとする事例の一つではありますが、シンジが望む世界はそういった私達の今生きている普通の世界です。

話がそれましたがシンジには黒いリリスに見えているその存在をゲンドウは「エヴァンゲリオンイマジナリー」だと説明。

このエヴァンゲリオンイマジナリーこそが「虚構と現実を融合させる存在」となります。

要するに今マイナス宇宙で妄想すれば創れる様な世界観を現実のものにしてしまうというとんでもない存在ってことです。

ドラえもんの秘密道具でも最強と評されるもしもボックスに匹敵する凄みを感じる存在です。

ゲンドウはエヴァンゲリオンイマジナリーに2本の槍を融合させて取り込ませます。

これでゲンドウが望んだアディショナルインパクトの発動となりました。

地獄の門からはデッカイ綾波が登場しました。

アヤナミはユイのクローンなのでユイと言えなくもないですが、やはりここはアヤナミとなります

なぜならユイの魂は初号機を通じてシンジの中にあるからです。

これは非常に重要なポイントです。

アディショナルインパクトが発動されると地表を歩いていた首なしのエヴァインフィニティのなり損ないも全てがアヤナミの体になります。

意味不明に思える描写ですが、ゲンドウの目指した人類補完計画の真相は自分を中心としてユイとの再会を目指し全てを1つに融合させてしまうことです。

「全部ユイだ~ひゃっほーい」ってなもんでしょうか。

冬月のもとを訪れたイスカリオテのマリア

アディショナルインパクトが始まった事で冬月の役目も終了です。

冬月の乗っていたNHG(ヴンダーと同系統の機体で最初の砲撃してきた2番艦)に真希波マリが現れます。

「冬月先生」と呼ぶ真希波マリに対して「イスカリオテのマリア」と呼称した冬月。

真希波マリがイスカリオテのマリアと呼ばれた理由

イスカリオテのマリアとは2つの意味が重なっています(場合によっては3つ)。

  • イスカリオテのユダ
  • マグダラのマリア
  • 聖母マリア
  • 元々冬月のゼミにいてユイとゲンドウとも仲間だった真希波マリです。

    ゲンドウのユイとの回想部分ではっきりしたのを覚えていると思います。

    そんな元々一緒にやっていた仲間であった真希波マリは自分たちを阻止する側であるヴィレに入って「裏切りのユダ」としての名前を持つことになります。

    しかしながらシンジにとってはイエス・キリストの死と復活というどちらも見届ける事になったマグダラのマリアの様な「見届人」の一人として存在しています。

    またアスカが「アイツに必要なのは恋人じゃなく母親よ」と言う描写を考えても聖母マリアの役割も担っている可能性があるでしょう。

    ただこれについては最後の最後に本当の母親であるユイが現れてシンジを助けてくれます。

    やはり基本的な構図としては「イスカリオテのユダ」と「マグダラのマリア」の2つが折り重なった呼称名と言えるでしょう。

    すでにNHGの役割は終了しており、冬月は真希波マリに対して無条件でエヴァMark09からMark12までを渡します。

    ここで冬月はユイの写真を見て「ユイくんこれで良かったのか」と言ってLCL化して消滅します。

    8号機で10から12までを吸収する

    冬月が用意してくれたMark10からMark12までを捕食して、8号機+9+10+11+12になり、オーバーラッピングした状態の8号機+4in1(プラス・フォー・イン・ワン)となります。

    4つのアダムスの器を所持した状態となった真希波マリはシンジを救うべく再度虚構の世界に突入する事になります。

    ユイが見つからないゲンドウ

    アディショナルインパクトを発動させたゲンドウですが、探せどもユイは見つかりません

    そしてユイの墓の前に立っているゲンドウ。

    後ろにはシンジがいます。

    なぜ見つからないのか分からないゲンドウに対して、シンジが近づいてきます

    しっかりと父親と向き合うシンジ。

    しかし近づくシンジに対してゲンドウがATフィールドを発動させます。

    ATフィールドは他者との隔たりを意味するものですが、ここではシンジを強く拒絶しているのが分かります。

    要するにシンジとの真っ直ぐな接触を恐れているということです。

    シンジはその事も気にせずに「これは父さんに渡すためのものだったんだ」とカセットデッキをATフィールドを超えて渡します。

    ここからゲンドウの想いの吐露が始まりました。

    孤独を恐れるようになったゲンドウ

    ゲンドウはもとより他人と一緒にいるのを喜んでいない人間でした。

    基本的には一人でいることが望ましく、親戚や友人を含め誰とも一緒に行動したいとは思っていません。

    言ってみれば孤独な人間でした。

    ただそれを孤独で辛いと思うこともなく、それこそがゲンドウの生き方だったのです。

    なので普段からイヤホンを付けて外界のノイズから自分を守っている日々。

    ゲンドウにとって2つのものが自分の拠り所だったと言います。

    1. 知識
    2. ピアノ

    知識は無限に自分に与え続けることが出来たので、書籍を山程読んでいます。

    また調律されたピアノは鍵盤の音を正しく外に出してくれます。

    人の感情による裏切りなどが存在しません。

    ゲンドウの基本的な生き方はこの2つをベースにした孤独なものでした。

    そこに現れた光がユイでした。

    ユイといる時だけはありのままの自分をさらけ出す事が出来、孤独の方が良いという発想はいつしか消えてしまいます。

    簡単に言えばユイとの付き合いで「楽しく幸せな人生を過ごしていた」ってことです。

    そしてユイを失った日

    ゲンドウはまた孤独に戻ることになりましたが、すでに孤独に一人で生きていくだけの方法が分からなくなっていました。

    孤独という辛さ、寂しさに耐えられなくなったゲンドウが誕生します。

    失う寂しさを初めて知ったゲンドウです。

    これがきっかけで何とかして「ユイに会いたい」と強く願うようになります。

    ゼーレの人類補完計画に同意したのも、今アディショナルインパクトでユイの魂との同化を試みたのもこの寂しさが辛すぎる世界を自分のエゴ変えようとしたからです。

    人類補完計画が成り立てばゲンドウが抱えたような寂しさという辛さはなくなります

    それどころか全てが1つになり生死すらもなくなる神の子になる訳です。

    当然ながら「あいつが気に入らない」とか「何を考えるのか分からない」といった他者との違いに苦しむ事象は全てなくなります

    死の恐怖すらも克服した状態と言えるでしょう。

    これに加えて会いたかったユイに会えるのなら万々歳ですってなっていたのがゲンドウです。

    しかしアディショナルインパクトを引き起こしながらもユイの発見には至らずに会えませんでした。

    ミサトが送り出したガイウスの槍

    アディショナルインパクトが発動し、このまま進めば世界は終わってしまいます

    人類補完計画が完遂され、魂の浄化と共にゲンドウを中心とした全てを1つにする神の子の誕生です。

    ここで冬月たちが創り出していた槍のデータをもとにヴンダーの脊髄部分を槍に変換する方法を導き出します。

    要するにヴンダーから槍を作ってシンジに届けようってことです。

    なぜ槍を作って届ける必要があるのか。

    魂の浄化となるインパクトを防ぐためというのが最大の理由です。

    今ある人類を守るため、世界を守るためと言ってもいいでしょう。

    過去にサードインパクトの際にカヲルが投げたカシウスの槍が初号機の覚醒を止めた様に槍はインパクトを止める力も有しています。

    しかしながら神の残した6本の槍は全て使われてしまいました

    1. 1本目:リリスに刺さっていたロンギヌスの槍
    2. 2本目:サードインパクトを引き起こした覚醒初号機を止めたカシウスの槍
    3. 3本目4本目:フォースインパクトの序章をシン化した13号機に突き刺した2本のロンギヌスの槍
    4. 5本目6本目:アディショナルインパクトを引き起こすためにエヴァンゲリオンイマジナリーに刺したロンギヌスの槍とカシウスの槍

    この全てが使われてしまった状態ではアディショナルインパクトの後に起こる魂の浄化は防げません

    ここをリツコの頭脳とヴンダー乗組員の努力によって生成していきます。

    最終的に冬月たちから学んだデータを頼りに脊髄パーツの変化を完了させて槍を作れる状態にしました。

    乗組員を全員脱出ポッドに入れてミサト一人でエヴァンゲリオンイマジナリーとして現れた巨大なアヤナミレイに向かってヴンダーを飛ばします。

    当然すでに初号機もMark09もいない状態でヴンダーはATフィールドによる移動が不可能になっています。

    ミサトさんは結っていた髪を解いて向かいながらの髪型に戻り「やっぱり最後は昔ながらの反動推進型エンジンね」と、言ってみれば普通の爆風によるエンジンにて突撃していきます。

    突進してくるミサトの艦を大きな手で防ごうとするエヴァンゲリオンイマジナリー(姿形は大きな綾波レイ)ですが、貫通して瞳に取り付きます

    そしてリツコたちが組み上げてくれた槍の素となる脊椎を解放

    ここで登場するのがガイウスの槍です。

    エヴァンゲリオンイマジナリーの瞳の中にミサトが命を賭して創り上げたガイウスの槍(別名ヴィレの槍)を真希波マリが8号機+4in1でシンジのもとに運びます。

    ガイウスの槍は神ではなく人の意思が創り出した槍です。

    ガイウスの槍とは人の意思を反映できる槍

    シンジの中に見たユイ

    シンジのもとにミサトから贈られたガイウスの槍が手のひらに届いています。

    ユイが見つからないまま槍がここに届いた事を「残念だ」というゲンドウ。

    しかしゲンドウはここで初めてシンジをしっかりと見つめます

    今まではユイが残したシンジを自分に対する罰だと思っていたゲンドウ。

    冷たくあたることが正しいと思っていたのです。

    しかしそれは大きな間違いでした。

    この事に気付いてようやくユイがシンジの中にいたことを知ったのです。

    シンジに対してATフィールドを自動発動してしまうほどに拒絶していたゲンドウ

    だからこそアディショナルインパクトを引き起こし、虚構と現実が融合する世界にいてもユイの魂に出会う事が出来ませんでした。

    ずっとユイはシンジの中にいたのです。

    シンジを拒絶してしまっていたらいつまでもユイは見つけられません

    それを知った事でゲンドウは去っていきます

    そこから話を引き継いだのがカヲルくんでした。

    そしてシンジはガイウスの槍を持ってして世界を創り変えます

    シンジの願いはエヴァそのものが存在しない新たな世界の創造です。

    アダムスもリリスもリリンも存在せず、魂と肉体が別々に存在できない世界

    魂の器に成りえるエヴァなる存在も消えて、命が尽きることのない生命の実や知恵の実といった概念もなくなる世界の創造です。

    そういうと分かりにくいですが、シンプルに今私達が生きている世界みたいな場所を創造するのがシンジの望みです。

    他人同士が考えていることも分からんければ死という別れもあり辛いこと寂しいこと悲しいことが人間関係に置いて山のようにあるけど、喜びや愛も存在しているこの普通の世の中。

    これこそがシンジの望む願いでした。

    父親の落とし前は僕が付ける」と初号機の中でガイウスの槍を解放して、コアを貫こうとするシンジです。

    ユイが現れてゲンドウも見送る

    寸前のところでガイウスの槍を止めたのはシンジの母親であるユイでした。

    シンジを解放し、ユイが代わりに初号機の胸にガイウスの槍を突き立てます

    その瞬間後ろには13号機が現れます。

    ゲンドウです。

    最後の最後にユイに会えたゲンドウ。

    ここでシンジはゲンドウの本当の目的を知ります。

    父さんは母さんをちゃんと見送りたかったんだ

    ゲンドウはユイに会いたいと言い続けていましたが、実際には死と向き合えなかったことに対しての悔やみが多かったのだと言えます。

    だからこそ多くの人が死を経験してもなお前を見ているシンジに対して「大人になったな」とゲンドウは伝えた訳です。

    円環の始まりと終わりである初号機と13号機を貫くことで全てのエヴァが消え去る事になります。

    ガイウスの槍で貫いた時にゼロ号機を含め色々なエヴァが同時に貫かれたのはそういう意味です。

    円を描いて1から13まで並べてみて下さい。

    そして1と13を崩壊させる事で2~12の全てが消え去ることを意味します。

    これぞサブタイトルの「さらば、全てのエヴァンゲリオン」になります。

    シン・エヴァンゲリオン劇場版「さらば、全てのエヴァンゲリオン」

    シン・エヴァンゲリオン劇場版「さらば、全てのエヴァンゲリオン」

    厳密にはシンジを救いに来る真希波マリが乗っている8~12までがまだ存在しているのでこの時点では一旦のエヴァ消滅が描かれ、シンジを救って全てのエヴァの完全消滅で新しい世界への移動となります。

    ただその前にシンジにはやることがありました。

    今虚構の世界に留まってしまっている魂を救い出す事です。

    マイナス宇宙に突入した段階で存在する魂は6つありました。

    シンジ・ゲンドウ・レイ・アスカ・カヲル・ユイの6人

    ゲンドウとユイに関してはガイウスの槍で自らを貫いたことで消滅しています。

    残るはチルドレンと言える4人の魂です。

    アスカを開放する

    最初に開放したのはアスカです。

    大人の姿になってセクシーさ全開の状態で浜辺に現れたシーンは誰もが覚えているはずです、きっと。

    シキナミタイプのアスカは惣流・アスカ・ラングレーのクローンです。

    かなりの数がいた中で最も優秀だったのが破から登場している式波・アスカ・ラングレーとなります。

    あの頃はシンジのことが好きだった」と言ったのも同一人物となります。

    アスカが使徒化する時に現れたオリジナルというのが惣流アスカラングレーだったと考えていいでしょう。

    ずっとアスカはエヴァに乗るためだけに生き続けていました。

    クローンだけに母親も父親もいません。

    それでも父親と母親に抱かれるシンジを見てうらやましく思っていました。

    いつも「誰かに頭をなでてほしかった」というのがアスカの小さな願いだった訳です。

    この役割をケンケンが担う事になるのは承知の通りです。

    14歳のアスカに対して28歳のケンケンが何かするはずもありませんでしたが、年齢通りの28歳に戻ったアスカ

    きっとこの先でケンケンと結ばれるのではないかと思わせるところです。

    シンジも「アスカにも帰る場所があるってそのうち気付く」と言っている描写でケンケンが映し出されていました。

    カヲルは父親の役割を担う

    アスカの次に解放するのがカヲルです。

    おそらくカヲルはシンジにとっての父親的な要素を持った人物です。

    だからこそピアノを一緒に弾く描写が出てきたり、シンジが父さんに似ていると言ったりします。

    ゲンドウに引き継いで最後の槍を使うまでのシーンのやり取りに変わるのもまた一つの要素。

    本来は父親とやりそうな部分をカヲルが全て担ってくれていました

    だからラストシーンではカヲルとレイが二人並んで話をしている様なホームの向かい側が見える訳です。

    レイは母親ユイのクローンであり、カヲルは父親であるゲンドウのあるべきだった姿を投影しているのでしょう。

    シンジはカヲルに対して「何度も会っている」ことを伝えます。

    旧劇を含め、エヴァンゲリオンの世界は一つのループを重ねている世界です。

    今回のシン・エヴァンゲリオンだけがエヴァのいない世界に行き着いた唯一のゴールと言える作品になっています。

    何度も会っているカヲルは「生命の書に名を連ねているからね」という発言をします。

    この物語は繰り返される円環の中での物語だった訳です。

    だから生命の書に名を連ねているカヲルは記憶をそのままに何度もやり直しを行っています。

    新約聖書のヨハネ黙示録の中にある「命の書」が由来であると考えていいでしょう。

    天国で永遠に過ごせる者の名前が連ねている書になります。

    もう円環の中で永遠に記憶を残したまま転生し続ける必要がなくなったカヲル。

    カジと渚司令

    カヲル解放の時にはカジさんとカヲルの回想もありました。

    渚司令」と呼ぶカジです。

    カヲルは「いつになったらカヲルと呼んでくれるのか」と問います。

    カジはいつもの笑顔で「お預けです、渚司令」と言います。

    渚というのは陸と海の境界面

    第1使徒であり、第13の使徒であるカヲルは円環の間にいる境界面の存在

    円環が破られる新しい世界ではもう転生をし続ける必要もなくなりました。

    渚カヲルの「渚」は「シ者」という文字遊びがされていて、カヲルについては一つ戻すと「オワリ」になるという遊びが施されているキャラとなります。

    カヲルはカジと共に歩いて去っていく描写。

    ミサトと一緒に畑仕事でもという話をしながら、カヲルは「それもいいね」とまさに普通の世界に生きる二人を思わせる終結です。

    レイの解放がラスト

    次々に進む魂の解放でスタジオが撤収作業に入っているような描写になっていると思います。

    この虚構の世界が崩れ去ろうとしていることを意味していると考えていいでしょう。

    新しい世界を創るには今ある世界を崩壊させる必要があります。

    今シンジがいる虚構の世界もまた同じです。

    レイの解放時には過去の作品の全てのタイトルが映し出され「ネオンジェネシス(新世紀)」の言葉が伝えられました。

    シンジが望む新たな世界の幕開けです。

    波打ち際でセル画に変わっていくシンジ

    一人残ったシンジ。

    波や空が徐々にアニメーションからセル画の様なものに変わっていきます。

    それに飲み込まれてシンジも徐々にアニメーションではなくなる描写。

    これは今まさに虚構の世界が全て崩れ去りシンジもろとも消え去ってしまいそうであると伝えています。

    現れたのは約束通り8号機に乗った真希波マリです。

    8号機から降りて真希波マリが海に落ちた瞬間にセル画だったものが全てアニメーションに変わります。

    そして最後のエヴァである8号機+9+10+11+12がパっと消え去りました

    約束通り迎えに来てくれたマリ。

    シンジに手を伸ばした瞬間に場面は最終の一幕に変わります。

    大人になり新世紀を生きるシンジ

    シンジが目を開けると大人になった自分

    そこに後ろから「だあれだ」と真希波マリ。

    胸の大きないい女」と答えるシンジ。

    駅のホームの向かい側には座っているアスカと2人で立って話しているようなレイとカヲル。

    みんな新しい世界で今までとは違った生き方をしているのが分かります。

    マリの手を取り「行こう!」とシンジは階段を駆け上がっていきます。

    宇部新川駅から出ていく二人

    それを中心に徐々に広がっていく今私達がまさに生きている世界の町並み

    この町並みの中こそがシンジが望んだエヴァのいない世界となります。

    マリエンドとなった今作ですが、アスカを姫と呼びシンジをワンコと呼んだ少し年上の女性

    確かに聖母マリアにも通じる部分があるのかもしれません。

    ただ新しい世界はそういった神話の話とは無縁の場所と言えます。

    少し離れた場所から全てを見届けた真希波マリ。

    作中で全方位の全員と関わりがあるのは真希波マリだけです。

    円環の中で繰り返される物語。

    もしかしたらその物語の中で唯一真希波マリの登場「新世紀(ネオンジェネシス)」を作る上で重要なファクターだったのかもしれません。

    ちなみに宇部新川駅が使われたのは庵野秀明監督が宇部市の出身だからです。

    これにて終劇。

    どうでしょうか、何となくでもストーリーとちょっとした用語の理解は出来たのではないかと思います。

    更に深く調べて知る事も出来るかとは思いますが、初心者がある程度内容を把握するのであればこのくらいで十分だと感じています。

    非常に長い文章になってしまい恐縮ですが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!



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