シン・エヴァンゲリオン考察|アディショナルインパクトとは何。ゲンドウが追加して行ったもの
シン・エヴァンゲリオンの最終章である:‖に登場した「アディショナルインパクト」とは何かについて考察します。
まずはセカンドからフォースまでのインパクトの意味を羅列させます。
ここだけ一先ず抑えておけば分かりやすくなるでしょう。
「浄化」って何なん!ってなりそうですが、「キレイにしちゃう」って感じの理解で構いません。
(キレイにしちゃうんだから生死を司っている中途半端ないわゆる生き物ってのはいない状態です)
※簡単な理解を目指す考察となりますので深い考察については行いません。ご容赦下さい。
アディショナルってどういう意味
まずはアディショナルの意味を知っておく必要があるでしょう。
サッカーの試合でも最近は試合後にアディショナルタイムってのが追加されます。
「追加」ですね。
そのまま「追加」とか「付加」って意味となります。
じゃあアディショナルインパクトは「追加したインパクトなのか?」ってなりますよね。
そうです。
ゲンドウが追加的に行ったインパクトがアディショナルインパクトだったと考えて間違いありません。
ゼーレのシナリオを知っておく
エヴァンゲリオンは非常に複雑なストーリー構成になっており普通に見ていても「何のことだ?」となってしまうものでした。
しかし今回の最終章であるシン・エヴァンゲリオンはその意味で「非常に分かりやすく作られていた」と言ってもいいでしょう。
まずゼーレのシナリオの前に「人類に残された選択」についてです。
知恵の実を得た人類の未来には2つの選択枠しか残されていません。
- 生命の実を得た使徒に滅ぼされる
- 使徒に勝ち神の子となる
「何のこっちゃ」となりそうですが、使徒に勝って神の子になるか、負けて滅ぶかのどちらかの選択しか無いってことで一先ず覚えておきましょう。
知恵の実というのは旧約聖書の創世記に登場するアダムとイヴが楽園追放のきっかけとなった実です。
ちなみに生命の実を得ている使徒は死という概念がありません。
(だから使徒の力を得ていたアスカは食事も睡眠も取らずに存在できています)
そして肝心のゼーレのシナリオですが、2番目である「使徒に勝ち、神の子になる」を選択しています。
但し神の子になるには「人類補完計画」が必要になります。
ああ、人類補完計画がそもそも分からないんだよって思う方、ご安心下さい。
その辺りも簡単な理解で問題ありません。
人類補完計画を簡単に言うと
人類補完計画を簡単に言ってしまうと「人間を1つにしちゃえ」ってなもんです。
人間というのは生命の実を得ていないので死にます。
死ぬから子孫を作って生物として生き延びなければなりません。
子孫を作る為には皆で生活していく必要があります、群れないとダメってことですね。
(最終章でトウジや委員長やケンケンが村という群れを作っていたのが人間の在り方を示しています)
群れは必要ですが、1つの存在ではないのでお互いのことを完全に理解したり思ってることが分かったりはしません。
だから傷ついたり憎しみ合ったり恨んだりしてしまいます。
全然不完全な存在ってことですね。
もし全てが1つになって誰の思っていることとかもなく生物として子孫を作る必要もないのだとしたらどうか。
「そりゃ完全体じゃねぇか!」って考えられたのが人類補完計画だと思って下さい。
※いや違うよ!もっと詳しく話せる!って人もいると思いますが、非常に簡単な説明をしていると解釈くだされば幸い。
神の子になるには「その完全な人間」ってのが必要になるってことですね。
ちなみにこれを提唱したのがミサトさんの父親である「葛城博士」でした。
だからミサトさんはゲンドウに会った時に父親の思いを終わらせる必要があると語ったのです。
海を浄化して、大地を浄化して、魂を浄化しちゃえば人類補完計画は完遂します。
それをするのがセカンドインパクトでありサードインパクトでありフォースインパクトだということです。
アディショナルインパクトは何だったのか
そしてアディショナルインパクトについてです。
先程伝えた様に「追加」って意味合いがあります。
アディショナルインパクトはフォースインパクトの前にゲンドウの目的であった「ユイに会う」を元に計画されたものです。
フォースインパクト=ゼーレのシナリオで人類補完計画の完遂に必要な要素
アディショナルインパクト=ゲンドウの計画でユイに会うのが目的(会うというより同化に近いか)
なので厳密に言えばゼーレのシナリオには無いものでした。
でもあくまで追加でありフォースインパクトに取って代わる訳ではありません。
ゲンドウが目的としたユイに会うためのアディショナルインパクトを実施したとしてもフォースインパクトは起こります。
間に入って追加的に行われるというのが分かれば理解出来ると思います。
だからゼーレとしてはゲンドウのやろうとした事を見逃したと言えます。
「まぁ奥さんに会いたいなら会わせてやったらええがな」ってなもんでしょう。
更にゼーレとしてもアディショナルインパクトを起こしてくれたら利する部分もあったと考えられます。
それが槍の使用です。
ゲンドウがアディショナルインパクトを起こすためには槍2本が必要でした。
(使徒化したアスカも必要だったのでエライ実行に手間のかかることだったって言えます)
- ロンギヌスの槍=絶望の槍
- カシウスの槍=希望の槍
この2つの槍を使ってしまいます。
実はこの槍はフォースインパクトを止められるものでもありました。
もしゲンドウがアディショナルインパクトを起こすために2本の槍を使ってしまったら、もうフォースインパクトは止められません。
「ほなええやんか」ってゼーレのおじさんたちが思ってもおかしくはないでしょう。
だからこそゲンドウの行動に対してゼーレは何も言わずに14年も放置していたと言えます。
アディショナルインパクトはマイナス宇宙という虚構の世界にあった黒いリリスにロンギヌスの槍とカシウスの槍を同化させたものを取り込ませて発動しています。
最終的に魂の浄化となるフォースインパクトはミサトさんが運んだ「ガイウスの槍」でシンジが止めることになりました。
余談:ガイウス・カッシウス・ロンギヌス
ロンギヌスの槍は聖書に登場する聖槍である聖ロンギヌスから来ているのは間違いありません。
イエス・キリストが磔にされた後、生死の確認の為に脇腹を刺した槍が聖ロンギヌスです。
ちなみに刺す前の名前をカシウスの槍とする説もあります。
ただその後でガイウスの槍まで登場すると名前の由来は急変しそうなところ。
ガイウス・カシウス・ロンギヌスは古代ローマの人物がいるからです。
ユリウス・カエサル暗殺の首謀者の一人。
カエサルは英語読みでジュリアス・シーザー(Julius Caesar)として知られる人物です。
シーザーの「賽は投げられた」とか「ブルータスお前もか」は舞台や映画などでセリフを覚えている人もいるのではないでしょうか。
三頭政治から最終的には終身独裁官として帝政ローマの礎を作った人物となります。
この話も長くなるのでこのあたりにして、実はこのガイウス・カッシウス・ロンギヌスの名が聖ロンギヌスの槍の本当の名称とする説もあります。
カエサルを暗殺した人物の名前をそのまま受け継いだ聖ロンギヌスの槍の本当の名前ガイウス・カシウス・ロンギヌスが今回の槍の名称の由来となります。
アディショナルインパクトは完遂された
さて結果的にミサトが運んだガイウスの槍によって魂の浄化であるフォースインパクトは阻止されてゼーレのシナリオだった人類補完計画は完成されずに終劇しています。
シンジはやはり「人間を1つにする」よりも苦しみ傷つく事があっても人それぞれが違いをもって生きていく世界を望んだと言えるでしょう。
ではゲンドウが目的としていたアディショナルインパクトについてはどうなのか。
自らをネブカドネザルの鍵で人間じゃない存在にした上に2本の槍やら、シキナミタイプの使徒化したアスカが必要だったりと手間取った計画です。
(ネブカドネザルの鍵ってなんやねんってなりそうですが、そういうアイテムくらいで納得しておくと楽です)
ちなみにシキナミタイプのアスカ。クローンで最も優秀(出来が良かった存在)だったと言えるのが登場している式波・アスカ・ラングレーとなります。シン・エヴァンゲリオン:‖でクローンアスカの元に現れた「オリジナル」と呼ばれる存在が惣流・アスカ・ラングレーだったと考えられます。
ゲンドウが全人類を巻き込んでまで会いたかったユイに会う方法がアディショナルインパクトです。
結果的にゲンドウはユイに会うことに成功しました。
アディショナルインパクトに引き続いて起こるフォースインパクトに対してシンジは自らにガイウスの槍を突き刺して全てのエヴァを消し去り止めようとします。
ここで登場したのが母親であるユイでした。
初号機の中に取り込まれたユイが息子であるシンジを助けるために自分が身代わりとなってガイウスの槍で自らを貫きます。
この時、ユイと共にゲンドウも消滅していますがゲントウとしては会いたかったユイに会えて満足しているでしょう。
「人類を巻き添えにしちまったけど会えたわ~感動~」ってなもんでしょうか。
まとめるとこうなります。
- アディショナルインパクトを起こしてゲンドウはユイに会えた
- ミサトがフォースインパクトを止められるガイウスの槍を運ぶ
- シンジが父親きっかけのフォースインパクトを止めるべく覚悟を決める
- 初号機の中にいたユイが現れてシンジの代わりにガイウスの槍を突き刺す
アディショナルインパクトの末にユイと会えたゲンドウにとっても嬉しい結末と言えるものになっています。
(ざっくり説明しましたがシンジとの関わりなどの葛藤も本編ではありました。長くなるのでここでの考察では割愛)
ちなみにここでゲンドウの本当の願いにシンジは気付いています。
「母さんを見送りたかった」というのがゲンドウの中に内包されていた願いであり、叶える事が出来ています。
最後はシンジにとってのマグダラのマリアと言える真希波マリがシンジを迎えに来ます。
この時に乗ってきたのが8から12号までを融合した機体です。
ちなみにこの辺りでアニメが絵コンテというかセル画のようなものに切り替わりながら進むのは虚構と現実を現していると言えます。
シンジも海などと同じくセル画に変わっているので「虚構の中に消えそう」という状況な訳です。
でも真希波マリが助けに来たので虚構から現実に戻る事が出来ました。
ここで真希波マリが乗ってきた8~12号も全て消え去って「全てのエヴァンゲリオン」が失われたってことになります。
これでシン・エヴァンゲリオン劇場版最終章である:‖のサブタイトルとなっていた「さらば、全てのエヴァンゲリオン。」となりました。
何となく難しい話も出てきましたが、アディショナルインパクトに関しては以上です。
この辺りを抑えておけば理解は出来るのではないかと感じます。
もう一度おさらいしますが、フォースインパクトは人が作った意志を反映する槍であるガイウスの槍(ヴィレの槍)で止めました。
そのガイウスの槍で初号機と13号機の円環を貫く時にユイが現れますが、シンジは父さんの本当の願いを知ります。
「父さんは母さんを見送りたかったんだ」
ゲンドウの本当の願いはガイウスの槍に貫かれて消滅する二人となった時点で叶えられたと言えるでしょう。
非常に簡単な考察となりましたが、以上がアディショナルインパクトについて補助理解として参考にしてもらえれば幸いです。
もっと深い考察もあると思いますのでエヴァンゲリオンの大ファン!という方は別の考えも見てみると面白いかと思います。
マンガ好き
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